□君が喜ぶから
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了平の目の前には、美味しそうな晩御飯並べられている。

「極限美味いぞ!」

満面の笑顔で告げながらも了平は、雲雀に気付かれないようにそっとため息を吐きながら呟く。

「確かに旨いのだが…」


あれはつい先日の話。
一緒に見ていたテレビに映った料理を見て、『あれ旨そうだな』と言った了平の独り言を聞いた雲雀が、了平の為に作った手料理。
美味いとの了平の言葉に気を良くした雲雀は、毎日のようにその料理を振る舞っているのだが、
『一週間続くと流石に堪えるなぁ』
そう、毎日同じ料理が食卓に並ぶのである。
かといって、変なことを言って雲雀を傷つけたくない了平は何もいえないまま、そのまま一週間を過ごしたのだった。


「どうしたらいいのか極限わからんのだ!!」

一週間目、ついに耐え切れなくなった了平は、ボンゴレに仕事の報告に来たついでに、ボスである沢田綱吉に相談をした。
大事な京子ちゃんのお兄さんである了平の相談に嬉しさを感じながらも、話の内容に目を見開いた沢田綱吉の第一声。

「お兄さん…雲雀さん料理するんですか!?」
まずそこに驚いたらしい。
「アレンジさえ加わらなければ、とても上手い」
そう、アレンジさえ入らなければ……過去何回か作った手料理は、雲雀の了平に対する愛情ゆえに、不気味な創作料理と化していたのだが、今回はアレンジがなかったのでとても美味しいかったらしい。


「変なことを言って雲雀の機嫌を害ねたくはない」

頭を抱えながら悩む了平に、自称沢田の右腕である獄寺隼人は、了平からの報告書に目を通しながら『そんなん簡単だろ?』と言った。

「タコヘッド…何か良い案でもあるのか?」

「本なりテレビなりを見ながら『これが食べたい』って呟けばいいじゃねえか」

事の発端は了平がTVを見ながら呟いた独り言。
だったら違う料理を見て食べたいといえば、別の料理が出てくる事が予想され、その意見にその場にいた皆が納得する。


「なるほど!流石はタコヘッドだ、よし今からチャレンジしてくるぞ!!」
大声をだしながら部屋を出ていった了平を見送りながら呟く。

「…手料理かぁ」
綱吉は京子ちゃんの手料理を思い出していた。

その後、地道な裏工作を繰り返しながらなんとか危機を回避している了平だった。

【完】

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