文
□向日葵
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「今日も極限いい天気なのだ!!」
朝の日課のジョギングに出かけるため、何時ものように玄関を出た俺が腕を振り上げ見たものは、ポストに刺さった一本の向日葵だった。
「悪戯か?」
何処かの悪ガキが手し折ったのだろうか、そのままにもできないので、庭のバケツに入れておいた。
何故だか公園のベンチ、水飲み場等々、今日に限って何時も通りのコースを走る俺の先々に、向日葵が落ちていたのだった。
そしてそれは家に帰る頃には両手一杯になっていた。
午後からの部活。
向日葵の事を忘れて部活に勤しんだ俺は、何時ものように雲雀の居る応接室に向かう。
雲雀は夏休みとはいえ、毎日のように学校に来ていて、毎日部活に来ている俺と一緒に帰るのが普通になっているからだ。
「雲雀帰るぞ!」
応接室の扉を開けた俺が見たのは、一本の向日葵の花。
「雲雀…その向日葵は……?」
今朝から続いた沢山の向日葵の花。
訳も分からず佇む俺に雲雀は、机に置いてあった向日葵を手に取ると、俺に差し出す。
「…!まさか、今朝の向日葵は」
「そう、僕。ちゃんと花屋で買ったから心配しないでいいよ」
笑いながら答える。
雲雀から向日葵を受け取った俺に、雲雀が抱き付き耳元で囁く。
「HAPPY BIRTHDAY了平」
その夜、家に帰った俺はよくよく数えてみたら15本、年の数分あった。
雲雀から、十五本の向日葵と祝いの言葉をプレゼントとして貰ったのだ。
【完】