□攻めが受けに贈る下着(了雲編)
1ページ/1ページ

【了雲】→赤に黒のレース

引き出しの奥に隠すように、しまってあった紙袋の中から出て来たのは赤黒のレースの女物の下着一式。

誰かにプレゼントかとも思ったが、飾りっけのない紙袋に入っているので違うらしい。
京子に渡すのかとも考えたが、イメージと掛け離れたデザインの下着に違うと考え直す。
したがって最後に出た結論は。

「君にこんな趣味があったなんてね」
そう、了平に女性物の下着を着ける、所謂女装趣味があるのではと言うことだった。
「俺が着けるのではない!!」
顔を真っ赤にしながら反論をする了平に僕は聞く。
「じゃあ誰が着けるの」
「…雲雀」
目線を反らしながらも小さな声で答える了平。

どうやら了平が買ったのではなく、山本に押しつけられたらしい事がわかった。

先日【山本武】に呼び止められた了平は紙袋を渡され、何の疑いもなく開けてみると、中には女性の下着一式。
山本武が恋人である獄寺隼人に着けてもらおうと、一人で下着専門店に買いに行った物らしい。

当然、獄寺隼人の逆鱗に触れ『処分しねぇと金輪際触らせねえ!!』と怒られたという事。

まぁ、一人で買いに行ったことは勇者だと思うよ?尊敬はしないけどね。
せっかく買ったのに捨てるのはと考え、了平に押し付けたと言う事らしい。
あの野球馬鹿は今度あったら咬み殺しておこう、僕の了平に変な知識を教えないでくれるかな、本気で女装する了平を想像したよ。

「雲雀ならよく似合うと思ったので、引き取ったのだ」

「君、僕の性別知ってる?」
「極限男だ!!」
分かってるなら、女性物の下着なんてすすめないでよね、思いっきり不機嫌な視線を了平に送ると、飼い主に怒られた子犬のように、小さくなってこちらを見る。
ちょっとそんな目で見ないでよ、まるで僕が悪いみたいじゃないか、狼狽える僕の止めの一言。

「どうしても駄目か?」

「もう分かったよ、一回だけだからね」
最終的に僕が折れる事になるんだけど……。



【完】

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ