□クリスマスプレゼント
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それから一週間後。

終業式も終わり、静まりかえった廊下を、はやる気持ちを抑えつつ、走る。
応接室のドアを勢い良く開けると、そこに雲雀は座っていたのだが、こちらを見ることもなく一言
「廊下を走るなって言ってるよね」
「うむ、すまん」
いつものやりとりもそこそこに、座っている雲雀の目の前に、真っ赤なリボンに飾られた箱を置く。
「何これ?」
こちらを怪訝な表情で見ながら雲雀は聞いたが、それには構わず
「俺からのプレゼントだ!」
と満面の笑顔で答える。
雲雀がリボンを解き箱の中身を取り出す。
中から出てきたのは、手の平サイズのオルゴール。
「了平これ…」
「この黒猫が雲雀そっくりでな、お前にどうしてもプレゼントしたかったのだ」
驚いていた雲雀の顔が、嬉しそうに綻ぶ。
そして、オルゴールの飾りを撫でながら、
「じゃあこっちの犬は了平だね、そっくりだよ、こめかみに傷が付いてる所とか」
雲雀が心底嬉しそうに笑う、そして…
「了平ありがとう。大切にするよ」
「気に入ってくれたなら、極限嬉しいぞ!」
雲雀が喜んでくれた事が、極限に嬉しかった。




犬と猫の飾りが付いた、小さな小さなオルゴールは、十年たった今も、雲雀の机の上で音楽を奏で続けている

【完】
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