□クリスマスプレゼント
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日課となっているジョギングの途中、普段なら決して気にも止めないだろう、一軒の雑貨屋で足を止めた。
店先に目を向けると、ディスプレイとして置いてあるのは、手の平サイズの小さな小さなオルゴール。
俺は暫らくそれを見つめていた。
それからというもの、毎日ジョギングの途中で、その店に立ち寄り、そのオルゴールを見る事が俺の日課になった。


街を彩るイルミネーションがクリスマス一色になり始めた頃。


雑貨屋から、クリスマス仕様の包装紙を抱えた女性を見かけ、不安を抱いた。
急いで雑貨屋に向かうと、あのオルゴールはいつもの定位置にあり、安堵するも、このままだと他の誰かに購入されてしまうかもしれない。
クリスマスまで後少し。
もう二度とオルゴールを見る事が出来なくなる可能性が高い事に、俺は焦った。
今日はまだ大丈夫だったが、明日は?
そこで最終結果として、自分がオルゴールを購入すればいいのだと言う考えにいたったのである。
そこで、今まで気にしなかった値段を見たのだが、俺は驚いた。
俺の小遣いでは、到底買えそうもない。
だが、このままだと他の誰かのモノになってしまう。
悩んだ末、母親に頭を下げて
「極限出世払いにしてくれ!」
と言い、オルゴールを手にしたのだった。
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