□錫婚式
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『守護者同士の、仕事についての話し合いに参加してほしいのですが…』
と、ボンゴレ十代目という肩書きを持つ草食動物が、電話越しにお願いしてきた。
はっきり言って僕には関係ないから、本来なら決して承諾しないんだけど、沢田の横で赤ん坊が、
「了平も帰国したらすぐに来るぞ」
と言うのが聞こえたので、渋々承諾し今に至る。

会議の内容そっちのけで、一ヵ月ぶりに逢う了平の手を握ったり、顔を眺めたりしながら時間が過ぎるのを待つ。
そして、退屈な会議が終わりに近付きかけた頃、了平がポケットから小さな箱を取出し、僕の目の前に置いた。
手の平サイズの小さな箱。
「何?」
「いいから、開けてみてくれ。」
了平に促されるまま、箱を開けてみると、中にはダイヤをちりばめた、ネクタイピンが入っていた。
「…タイピン?」
怪訝な表情で了平を見るが、当の本人は楽しそうに笑っている。
「僕の誕生日はまだ先だけど?」
そう、誕生日はまだ先、クリスマスもまだまだ先の話だ、だからこんな、高価なプレゼントを貰う理由が見当たらない。
「違うぞ、今年俺たちは十年目なのだ!」
他の守護者達は、事の成り行きを傍観しつつも、話が見えないといった表情をみせていたが、僕だけは了平の言いたいことがわかった。
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