□トリック・オア・トリート
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「了平。Trick Or Treat!」
了平がお菓子なんて物、持っていないだろうと見越していた僕の予想に反して、了平から渡されたのは苺味の飴二つ。
「…君がこんなもの持ってるなんて意外だよ。」
「ああ、それはだな…」
了平の話だと、此処にくる前に立ち寄った実家で、
「トリック・オア・トリート!!」と出迎えられ、
意味なんてわからない了平は、妹とその友達(三浦 ハル)に根気よく説明されたらしい。
もちろんお菓子なんて持ち歩いていない了平は、妹とその友達にクスグリの悪戯をされたとの事。
「ふーん。」
興味の薄れた僕の、気のない返事を聞いた了平は、僕の顔を見て笑う。
了平がこんな笑い方をする時って、大抵ろくでもない事を考えてるんだよね。
「雲雀。トリック・オア・トリートなのだ!」
「はい。」
返事と一緒に了平から貰った飴を渡す。
「違う!これは俺がやった飴ではないか!」
「ねえ、僕がお菓子なんて持ってると思う?」
「いいや思わん」
「だったら…」
「俺が雲雀に悪戯出来るのだ!」
ほらやっぱり、ろくでもない事を考えてた。
でも嫌じゃない。
座っていた了平の膝にまたがるように向かい合うと、肩に手を掛け、耳元で囁く。
「本当は僕が悪戯したかったけど、君に悪戯されるのも悪くないね。」
口づけを交わそうと僕が顔を近付けると、了平は口に手を添えて制止する。
「何、嫌なの?」
「嫌ではない!!俺からするのだ。」
優しい口づけが、額からこめかみを流れ頬へと。
そして、二人視線を絡めると、濃厚な口づけを交わす。


「来年はどこにも寄らず、真っすぐ僕の所に来るようにしてね。」
「なぜだ?」
「来年わかるよ。」
嬉しそうに笑いながら答える僕の背中を撫でながら
訳が分からないと顔を見つめてくる。


【取り敢えず、完?】

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