□見慣れた景色と
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「雲雀、明日は暇か?」
「これといって用事はないけど?」
「明日、一日付き合ってほしいのだが」
了平からお誘い。
「いいよ。」
断る理由なんてない、だって了平と一緒に居られるから



次の日
了平が僕の家に迎えに来たので、暑い日差しを浴びながら町へと繰り出す。
いつもの変わらない町を、ただブラブラしながら二人で歩く。
店に入り、服を見たり、ご飯を食べたり、ゲーセンでゲームをしたり。
これといった目的もなく、ただブラブラと。

夕方が近づき、蜩が鳴く頃、僕の前を歩いていた了平が、急に立ち止まり振り返る
「雲雀!今日は一日有難う、極限楽しかったぞ」
「急に何?ただ付き合っただけでしょ」
訳が分からない。
ただいつもと変わらず、二人でブラブラしただけ。
しかし次の了平の言葉で、僕は真っ赤になった
「初めてのデート楽しかったぞ」
デート?ちょっとまって、二人で一日、町をブラブラしただけでしょ?
それをデートって!?
「ちょと、ちょってまって!デートって…」
真っ赤になった僕を気にも止めず了平は叫んだ
「今日は俺の、誕生日なのだ!」
知ってるよ。
プレゼント渡したいけど
君の欲しいものが分からなかったから
一緒に居たら、君の欲しいものが分かるかも、って

だから君の誘いに乗ったんだから

了平は雲雀の手を、掴むと目の前でいつもの笑顔で
「一日デート最高のプレゼントだ!!」
と叫ぶ
デートぐらいで喜ぶなんて
しかも、いつもと変わらない行動なのに
【デート】
呼び方が違うだけで、なんだか恥ずかしい
ふと思う
……じゃあキスしたら君はどうなるのかな?
了平の頬を両手で優しく挟むと、軽く触れるだけの口付けを交わす
そして目を見つめ一言

「了平誕生日おめでとう」

キスの後。
了平は耳まで真っ赤になっり、狼狽えていた。

【完】
 

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