□夏休みは二人で
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了平と喧嘩をした。
僕が悪いんじゃないよ、あの馬鹿が悪いんだ。
もう少しで夏休み。
休みになったら、二人で色々どこかに行って、遊びたいね(まあ、デートとも言うけど)
って計画を立ててたのに、あの極限ボクシング馬鹿ときたら
「夏休みはずっと練習だ!!」
だって。
休みは一日も無いのか、と聞いたら
「無い。」
とそれだけ…理由を聞いたら、お茶を濁すばかりだから
トンファで思いっきり殴り倒して、僕は応接室を飛び出した。
今は昼休みの時間。いつ了平と遭遇するか分からないので
給水塔の上で、昼休みが終わるのを待っている。

暫らくして、煩いと思ったら沢田、獄寺、山本の三人が昼食を食べに屋上に来たみたいだ。
いつもなら直ぐにでも追い払うのだが、事を荒げると、了平に気付かれる心配があるので、無視を決め込む。


足音が聞こえ勢い良くドアが開く。
「雲雀はおるか!」
「えーっと、雲雀さんは来てないみたいですが?」
「芝生!テメーもう少し静かにドアを開けろよな!」
「まあまあ、獄寺。先輩ここには俺たちしかいないっすよ。」
三人の言葉に、眉間に皺を寄せた了平は、礼を言うと、背中を向けた。
屋上を後にしようとした了平に、綱吉が声をかける
「雲雀さんがどうかしたんですか?」
「じつは雲雀が、俺を殴った後、どこかに逃げておるようなのだ!」


応接室での二人のやり取り(夏休みは練習だと言ったら、いきなりトンファで殴られた)
を説明し、了平は
「俺には何が何やら、訳が分からんのだ!」
髪を掻き毟りながら呟く
事のてんまつを聞き終えた綱吉は、疑問をぶつけてみた。
「お兄さんは、何で休まず練習なんですか?」
「強くならなければいけないからだ」
「はあ…」
「強くなって雲雀を、護ってやりたいのだ」
「護る?」
三人ともハモル。
それも仕方がない、護られると言う言葉が、一番似合わない雲雀に、了平は真顔で護る!なんて言っているのだから。
「なんでお兄さんは雲雀さんを護るんですか?」
「恋人だからだ!男として恋人は護らないといけんからな」
雲雀さんも男です。なんて言葉、了平の真剣な姿を見てたら、言える訳もなく
綱吉は
「お兄さん頑張って下さい。」
としか言えなかった。
要は、この夏休みの間に、雲雀を護れるぐらい強くなりたいのだと。
だから、雲雀からの嬉しい誘いを断ってでも、鍛練したかったのだと。
それを告げるには恥ずかしくて、雲雀に言えなかったと言う事だったらしい。


給水塔の上で、了平の嬉しい告白を聞き、耳まで真っ赤にした雲雀は、微笑む
了平が僕の事護りたい?
今までの僕だったら、怒って病院送りだよ。けど、君に護られてみるのも悪くないかもね。
訳も分かったし、もう、許してあげる。


放課後、やっと捕まえた雲雀に
「夏休み、僕と必ず、毎日一時間は遊んでよ、もし破ったら別れるから。」
と、了平は訳も分からず約束をさせられたらしい。

【完】
 

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