□バレンタインはカレー味
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了平が真っ赤な薔薇の花束を持って帰宅。
悪い虫が憑かないように色々手を回していたはずなのに、勇気のある女も居たものだと感心していたら、了平がその花束を僕に差し出した。

「君は女性から貰ったものを僕に渡すの?」

「これは俺が買ったのだ」

不機嫌一杯の僕の問いに、さらりと了平は答えた。

今日は何かの記念日だったっけ、と考えたのだが思い当たる記念日もない。
況してや、この僕が忘れて了平が憶えているような記念日もない。
訳も分からない僕は了平に問い詰めると『日本では女性から男性にチョコレートを渡すが、欧米では男性から女性に花束を贈るのだと聞いたのだ』と言ってきた、どうやら何処かで聞いてきたらイベントを実行したらしい。


食卓を囲みながら交わされるたわいのない会話に、適当に相槌をしながらも了平のサプライズに少し動揺している。
食卓の中央に鎮座する真っ赤な薔薇。
バレンタインデーに君から花束を贈られるなんて恥ずかしいけどやっぱりうれしい。
けどね、気付いてないだろうけど、毎年君チョコレート貰ってるんだよ?
バレンタインデーには毎年カレーだって気付いてるよね。
何でかっていうとカレーの隠し味に大量のチョコレート入れてあるんだよね。
教えてあげないけどね。



【完】


雲雀は恥ずかしいからチョコレートを素直に渡せないと思います。

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