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□バレンタイン
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2月14日はバレンタインデー。
女子から男子にチョコレートを渡し、愛を告白すると言うくだらない行事。
何時もの様に雲雀は校内の見回りを終え、立ち寄った下駄箱で佇む了平を発見した。
声をかけようとした瞬間、了平の手に可愛くラッピングされたチョコレートが握られている事に気付く。
表には出さないままも、動揺し声をかけることも出来ず只佇む。
雲雀に気付いた了平が何時ものように声をかける。
「雲雀、これを受け取れ!」
手にしていたチョコレートを渡され、困惑の表情を見せる雲雀に対し、了平は楽しそうに話す。
「頑張って作ったのだ!」
昨日の話。
バレンタインのチョコを毎年手作りで作っている妹との会話の中で、大事な友達に渡すチョコレートを『友チョコ』と言う事を聞いた了平は「なら俺も雲雀に作らなくては!!」と妹の手を借りて作ったらしい。
「雲雀は俺の大事な友達だからな!」
友達以上恋人未満な関係に不満は有るが、了平が自分の為だけに作ってくれた事は嬉しいので、素直に受け取る。
「これは有り難く頂くよ」
「ああ、ホワイトデーを極限楽しみにしているからな!」
「僕に手作りしろって事?」
「極限その通りだ!」
了平曰く、自分は雲雀の為に手作りで頑張ったのだから、雲雀の手作りなお返しが欲しいと言うことらしい。
来月のホワイトデーに、雲雀からの手作りクッキーが貰えるかは、雲雀の機嫌に左右される事になる。
【完】