☆矢文.

□クリスマスプレゼント
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「じゃあ、サガこれ着てね」

聖域でもX'masをしよう!と言う事で準備をしていたサガは、笑顔のアイオロスから紙袋を手渡された。
紙袋を覗くと中には赤い布が見えていたので『成る程、私がサンタさんなのだな』と納得したサガが着替えたのだが、何かが違う。

「ロス…ズボンが無いのだが」

「良く似合ってるよ」

「否、そうではなくてこの服、丈が短いみたいなのだが…」

「可愛いよ」

「…分かったから私の話を聞け!!」

アイオロスとの噛み合わない会話を整理すると、聖域でX'masをしようとなったはいいが、アイオロスは13年というブランクの為X'masと言ったイベントをよくわかっていない。
人づてに聞いて回った所、赤い服を着たお爺さんがいい子にしていた子供にプレゼントをくれるとか、鶏を食べるとかといった情報を得た。
その中の【サンタクロースとは赤い服を着ている】という情報を元に、買ってきてもらったのだとアイオロスは言った。
確かに赤くてX'masな感じなのだが、丈の短いワンピースはどう見ても女性用なのだ。
鼻の下を伸ばし見つめるアイオロスをサガは睨むと、渋々と言った感じで更に話しを続ける。

「私は『サガに似合うサンタの服を買ってきてくれ』と頼んだだけだよ」

アイオロスの答えにサガは更に質問を重ねる。

「誰に頼んだのだ?」

「シャイナと魔鈴」

あの二人なら間違えたのでなく嫌がらせの方が正しいだろう、短いスカートの裾を必死に下ろしながらサガは溜め息を吐く。
笑っていたアイオロスが急に真剣な表情でサガの手を取り、頬に優しく口付けるとアイオロスは囁く。

「こんなに可愛い君を他の誰にも見せたくはないな」

不覚にもアイオロスの行動と、殺し文句に心臓が高鳴るのを感じたサガだが、次に呟いたアイオロスの言葉に呆れる。

「私はこの一年いい子にしていたのだ、プレゼントを貰っても良いはずだ!!」

「アイオロス…君はもう大人だろう?」

サンタクロースからプレゼントを貰う事が出来るのは子供だけだとサガは諭したのだが、アイオロスは自信満々に応える。

「大丈夫、中身は14歳だから!」

呆れるサガをお姫さま抱っこで優しく抱き抱えると、ベッドルームへと移動をはじめたアイオロスに、サガは不敵に笑いながら言う。

「ロス、子供なら子供用のプレゼントしか貰えないぞ?」

「子供でも大人でも、君以外のプレゼントはいらないよ」

二人で笑いながら口付けると人馬宮の奥へと消えていった。





翌朝。

クリスマスプレゼントにサガを堪能したアイオロスは、まだ目覚めないサガの髪を撫でながら昨晩の痴態を思い出していた。


その後、女性用サンタ服は魔鈴とシャイナの嫌がらせではなく、アイオロスが買ってきてくれと頼んだ事がばれてサガにこってりと絞られるのだった。


【完】

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