☆矢文.

□2010年 ロス誕。
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夜のトレーニングに出かけようとしていたアイオリアは、獅子宮を訪ねてきた兄を部屋に上がらせたのはいいのだが、当のアイオロスは暗い顔で俯いたままじっとして動かなくなっている。
電気も付けず真っ暗闇の中、一点を見つめ動かない姿は少し怖い。

「兄さん、もう自分の宮に帰りなよ」

「兄が困っているのを見捨てるのか?」

このままここに居座られても困るので帰るように促したのだが、アイオロスは顔だけを横に動かし睨むようにぼやく。

「はいはい、で?」

「サガが私を避けている」

「何したのさ」

「何時も通りだ」

自信満々に答えるアイオロスによると、今朝起きたらサガが居なかったのだと、しかもそれから一度も会っていないのだと言う。
小宇宙で語り掛けても反応無し、双児宮にも居らず、他の黄金達に聞いても今日一日見ていないとのことだった。


【ここで昨日一日のアイオロスの行動】

朝起きて一緒にご飯。
執務室で仕事をしながらスキンシップ(という名のセクハラ)。
その後イチャイチャしながら(過度のセクハラ)お昼。
昼過ぎもスキンシップ(過度のセクハラ)を咬ましつつ仕事。
夕食を人馬宮で取る。(夕飯仕度中のサガに対し、勿論セクハラしまくり)
その後サガは人馬宮に泊る(セクハラ以上の行為満載、勿論朝方までの過激な運動)
といった感じだったらしい。

「兄さん…そのセクハラが原因じゃないのか?」

「スキンシップだ」

昨日一日の兄の行動を聞いたアイオリアは、セクハラが原因ではないのかと当たりを付けたのだが、それに対して自信満々に訂正する兄の、サガに対する不埒な行動にアイオリアは目眩を感じる。
とは言え、ほぼ毎日その様なことをされても一緒に居るサガは兄同様、スキンシップと考えているのだろう事が推測される。

「サガに嫌われたら生きていけない…」

涙声で呟く兄を可哀想だと思うが、こればかりは自分でどうにかしてもらわないと困るとアイオリアは、心を鬼にしてキツイ一言を言い放つ。
「ここにいても解決しないから帰ったら?」




「思いやりのない弟だ、兄が困っているというのに追い出すとは」

弟に追い出され、肩を落としながら愚痴を零し、アイオロスは足取り重たく人馬宮へと帰ってきた。

「…サガ!」

意気消沈中のアイオロスが自宮の扉を開けた瞬間、目の前にピンクフリフリのエプロンを付けたサガが立っていた。
気付けば部屋一杯に美味しい匂いが充満している。

「遅かったな何をしていたんだ」

返事もそこそこにアイオロスはサガに抱きつく。

「なっ何!?」

「朝起きたらサガがいなくて、嫌われたのかと思った」

微かに震えながら肩口に顔を押し付け呟きながらも、サガを逃すまいと抱き締める力が強くなる。
サガはきつく抱き締めるアイオロスの頭を優しく撫でると、髪にキスを落とし話し始める。

「すまなかった、今日は君の誕生日だったから…」

11月30日はアイオロスの誕生日。
折角なのでアイオロスの好きなものでも作って、二人っ切りで誕生日を祝いたいと考えたサガは朝早くから準備を始めたのだと、朝起きて居なかったのは、買い物に出かけていたからとのことだった。

「私が君を嫌いになるはずがないだろ、何時も君に嫌われたくないと考えているのは私なのだから」

サガの告白に表情が緩んだアイオロスの腕が緩む、サガは正面からアイオロスを見ると額に口付けを落とす。
頬を染めたサガはアイオロスにそっと告げる。

「アイオロス誕生日おめでとう」

それに応えるように優しくサガを抱き締めると、アイオロスはサガの首筋に顔を埋めながら囁く。

「ありがとう。けど私はサガが居てくれればそれで良いんだよ」

今度はアイオロスから深い口付けを交わす。

【完】

アイオロス誕生日おめでとう!!
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