☆矢文.
□夜中のパパは漢だぜ
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麗らかな聖域の午前中。
アイオロスとサガは何時ものように執務室で仕事をしていたのだが、少し遅れてシオンが様子見と称して遊びに来ていた。
特にする事もなく、ソファーの上でサガに淹れてもらった紅茶を啜りながら寛いでいたのだが、合間合間に眠いのか欠伸を繰り返している。
「お疲れのようですね」
「童虎が朝まで離さぬのでな」
目蓋を擦りながら欠伸を繰り返すシオンに、サガはいたわりの言葉をかけたのだが、当の本人から帰ってきた言葉は恥ずかしいものだった。
「老師はそんなに凄いのですか?」
シオンから返ってきた恥ずかしい答えに、言葉もなく動かないサガの横から、身を乗り出し興味津々で聞いてくるアイオロス。
そんなアイオロスに不敵な笑みを浮かべて、シオンはさらりと言い放つ。
「童虎がどれだけ凄いか、お前が受けてみれば分かるだろう」
「遠慮します。私は突っ込まれるより、サガに突っ込む方が好きなので」
「ぶっーっ!!げほっ」
シオンの答えに直ぐ様切り返したアイオロスの答えに、飲んでいた紅茶を吹き出し気管に入ったらしいサガは咳き込みながら苦しんでいる。
「アイオロス…!」
「えっ?だって本当の事だし」
アイオロスは至って真面目に答えているから質が悪い。
落ち着いたサガはふと嫌な予感を感じ、アイオロスの方を向くと眉間に皺を寄せ、強い口調で問う。
「アイオロス何処へ行くのだ」
「老師に凄さの秘訣を聞きに行こうかなぁって」
アイオロスはサガに満面の笑顔を向けて答える。
「私はこれ以上は…」
「だって、俺もっとサガに気持ち良くなってほしいから!」
そう答えると、ドアを開け走りだすアイオロス。
「ちょっと待て!」
突然の事でワンテンポ遅れたサガはアイオロスを追い掛けようとドアに手を掛けた。
その瞬間、「アイオロスも凄いのか?」二人のやり取りを聞いていたシオンは紅茶を啜りながらのほほんと聞いてくる。
「今はそんな場合では…」「凄いのか?」
シオンの無言の圧力をかけられたサガは、真っ赤になりながら、小さく答える。
「…朝まで」
「ほう、奴も中々やるのぅ」
真っ赤になり俯きながらも踵を返し、勢い良くドアを開けると叫びながらアイオロスを追い掛けるサガ。
「いらないことをしないで仕事をしろ!!」
アイオロスに罵声と言う小宇宙を飛ばし、執務室を出ていくサガを見送りながらシオンは『仲が良いことは良いことだ』と笑っていた。