☆矢文.
□運動会と黄金聖闘士と思惑
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「聖闘士対抗運動会をするぞ!!」
教皇宮の一室に集まっていた青銅聖闘士の四人に向かい、シオンは言い放つ。
シオン曰く『このまま平和木瓜されてはかなわんのでな』と、秋ということもあり、鍛練を兼ねて聖闘士同士で運動会を行おう!と言うことらしい。
「黄金聖闘士とじゃ不公平だよな」
星矢がお茶を啜りながら呟く。
「何を言っておる、おまえらはその黄金に勝っておるではないか…と言っても遊びの延長だからの、分かった好きな黄金二人を組に入れるがいい」
「やった!じゃあシオンと童虎!!」
星矢の言葉を遮るようにシオンンは言い放つ。
「私と童虎は審判だ、年寄りは労るものだぞ」
教皇宮を出て階段を降りながら星矢達四人は、誰を味方に引き入れるかを話し合っていた。
「ちぇっ、シオンが入れば百人力だったのによ」
「仕方がないよ星矢、見た目は18歳だけどお年寄りなんだから」
星矢の愚痴を聞きながらもフォローは忘れない瞬、そうこうしてる間に双魚宮にたどり着いた四人は、アフロディーテ、デスマスク、シュラに聞いてみた。
答えはNO。
アフロディーテは『そんな汗臭い行事、私はお断わりだ』と、デスマスクに至っては『興味ねー』との一言だった。
シュラは、『紫龍と味方になるのも悪くはないが、出来れば一対一で闘いたい』と、そんな事を言われては無理強いは出来ないので、他を捜しに階段を降る。
次にたどり着いた宝瓶宮では、師であるカミュにべったりなミロに嫉妬している氷河が『俺が勝ったら一人前の男と認めて下さい!』と宣戦布告。
カミュも、味方としてではなく手合せしたいとの事。
その後人馬宮では、笑顔のアイオロスに断られた。
決まらない人選に焦りを感じながらも四人は階段を降りる。
「なあ、アイオリアにしようぜ!絶対断んねーよアイオリア優しいし」
星矢の意見に対し、他の三人は微妙な反応を見せる。
「星矢…アイオリアを入れるともれなくシャカが付いてくる」
「え?いいじゃんシャカ強ぇーし」
瞬は星矢の両肩を掴むと言い聞かせるように諭す。
「星矢、(恋人であるアイオリアの事が一番大好きな)シャカはね、もしもアイオリアに不足の自体が生じた時(それこそ命の危機、多分擦り傷位でも傷付いたら)目を見開いて、五感剥奪とかかましそうだからね、僕達もとばっちり(というか八つ当たり?を)食らう可能性もある」
「だから駄目だ」
三人の否定により、アイオリアを入れることを断念した。
「じゃあ、サガは?」
星矢は他の三人に言う。
黄金聖闘士の年長で、偽物とはいえ教皇をしていた双子座、しかもアイオロスと肩を並べるぐらいに強い。
誰も異議を唱えなかった。
「残念だけど辞退させてもらうよ」
双児宮でサガにお願いするも、断られてしまう。
「そうですか、残念です。アイオロスは快く承諾してくれたので」
瞬は、サガを見ながら残念そうに言った。
「えっ、アイオロスはさっき…」
笑顔で断られたと言う前に、紫龍と氷河に止められる。
「…ロスは了承したのか?」
「はい、サガと鼠ーランドでデートだ!って喜んでましたが」
優勝賞品は日本の鼠ーランド御優待らしい。
瞬の嘘八百を、サガは疑う事もなく信じてしまったらしい『わかった私で良ければ力になろう』とまんまと味方に引き入れたのだった。
双児宮を出て、『大丈夫なのか』と心配そうに聞く星矢に瞬は、自信満々に笑顔で答える。
「大丈夫だよ、(恋人同士で、常にイチャイチャしてる)仲良しの二人だから、サガが味方になったと知ったらアイオロスは味方になってくれるよ、(恋人の前でいい格好したい)優しいアイオロスは張り切って参加してくれるはずだからね」
()内の重要な部分は星矢には聞こえてはいないが、話は伝わっているらしい。
人馬宮に戻った四人に、『何度来ても駄目だぞ』と笑いながら答えるアイオロスに対して、瞬が告げる。
「残念ですが仕方がないですね、サガは承諾してくれたので、後一人はカノンに聞いてみましょう」
「サガ?」
笑っていたアイオロスが、動きを止め真面目な顔で聞いてきた。
「はい。サガは日本の鼠ーランドに行くのを楽しみにしてたみたいですが」
アアイオロスは真面目な顔で、顎に手を添え考えている。
その姿を確認しながら瞬は、最後の一押しを仕掛ける。
「ホテルは最上階で夜景の綺麗なスイートです」
「わかった、(サガとのラブラブデートの為に)協力しよう」
「やったー!!サガとアイオロス二人が居たら優勝間違い無しだぜ!」
不純な動機に気付かない星矢は大喜び、これで運動会の準備は整った。
【続く?】