☆矢文.

□君というプレゼント
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意識を取り戻したシオンは身動きが取れないことに気付き、よく見ると自分がすっ裸な状態で真っ赤なリボンに縛られているという、なんとも恥ずかしい格好で天秤宮のベッドの上で放置されている事がわかった。
今一状況が飲み込めないシオンだったが、たまたま立ち寄った白羊宮にて、ムウに出されたお茶を飲んでから記憶が無い事にシオンは気付き、ムウに向かい小宇宙を飛ばす。

「ムウ!私にこのような事をして、ただですむとは思っておるまいな!!」

「何を言っているのですか、感謝はされども、恨まれる覚えはありませんよ?」

シオンの威嚇もなんのその、淡々と返すムウ。
小宇宙でムウに悪態をつきながらも、どうにか身体に食い込む赤いリボンを外そうと試みるシオンだが、動けば動くほど身体に食い込むリボンに悪戦苦闘。

そうこうしてる間に、五老峰から童虎が戻ってきて、ベッドの上で藻掻いているシオンと遭遇。


「シオン、お主此処で何をしておるんじゃ?」

童虎が驚くのも無理はない、恋人が全裸でしかも真っ赤なリボンで飾られ、自分の宮にのベッドの上で出迎えているのだから。
そんな童虎に小宇宙でムウが伝えた事は……

『老師、誕生日おめでとうございます。黄金皆からプレゼントです、煮るなり焼くなり好きにしてください』

と。
そのやり取りを聞いていたシオンが怒鳴るよりも先に、童虎が言う。

「ほう、皆ワシの欲しいものがよく判ったのぅ」

童虎の台詞に湯で蛸のごとく真っ赤になるシオンは、余りの恥ずかしさから怒りながら叫ぶ。

「アホ虎、いいから早く解かんか!」

「こんなに可愛いのにか」

ベッドに横たわるシオンの無防備な太もも辺りを撫でながら、楽しそうに童虎は言った。

「触るなこのエロ虎!!」

「ワシの誕生日に可愛らしい姿で恋人が祝ってくれるなんて、なんて有り難いことか」

童虎が嬉しそうに語る姿を見たシオンは、身体に絡み付くリボンを外すのを諦め、童虎に告げる。

「いいから早く外さんか、このままではお前に抱き付く事も出来ないではないか」

シオンの言葉に童虎は素直にリボンを端から解いていく。
体を縛る真っ赤なリボンが無くなり自由になったシオンは、笑みを浮かべ正面から抱きつき、童虎の耳元で小さな小さな声で囁く。

「童虎誕生日おめでとう」

恥ずかしさ一杯で小さな囁きだったが、シオンの口から告げられたシオンの精一杯の愛の言葉に童虎は笑う。

「ありがとうシオン」


【完】

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