☆矢文.

□保健体育のススメ
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天気の良い昼下がり。

こんな日は外で体でも動かしたくなるのだが、蓄まりにたまった仕事の山が、アイオロスの机の上に山のように積み上げられている。
次期教皇と成るべく、シオンに付いて仕事をこなしている最中なのだ。



「のう、アイオロス」
長い沈黙を破るようにシオンは口を開いた。
ぼーっとしていたアイオロスは、シオンの問い掛けに慌てて答える。
「なんでしょうシオン様」
「アイオリアの性教育はどうなておるのだ」
「…は?」
シオンの唐突の質問に頭が回らない。
性教育?しかも弟の。
話の真意が分からないアイオロスは狼狽える。
「先日の視察での話なのだが…」




「赤ちゃんはキャベツ畑で生まれるのだよ」

とアイオリアは慕ってきた子供たちに答えていた。
最初は微笑ましい光景にほのぼのしていたシオンだったのだが。
「赤ちゃんはキャベツ畑か、面白い、よい例えじゃのぅ」
「シオン様、違うのですか?」純真無垢な瞳を向けられたシオンは
「…あ…キャベツ畑だな…」としか返せなかったらしい。

20歳にもなる大人が【キャベツ畑】を信じているのも可哀相で、兄であるアイオロスに何とかしてはどうだと、相談を持ちかけたらしい。
13年前はまだアイオリアは幼く、性教育などしたことはなかった。
だが弟も今や青年、知らないことは、誰かが教えてやらなければいけない。

「わかりました、私が一肌脱ぎましょう」
「おお、そうか!」
この時アイオロスが起こす騒動に、シオンは気付く素振りもなかった。
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