☆矢文.
□年と我儘
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五老峰で寛いでいた童虎にシオンから小宇宙が届く。
『私はもう駄目かもしれん』と。
その後の小宇宙通信に返信が無い為、何事かと聖域へと光速移動した童虎は、白羊宮のベッドの中で唸っているシオンを目撃、シオンの看病をしていたムウに事の詳細を告げられる。
昨日の話。
アイオロス・ミロ・アイオリア(アイオリアは強制参加中)が寒い中体を鍛えるといった名目で全裸で水を掛け合っていたらしく、偶々通りかかったシオンが巻き添えを食らった挙げ句、夜中になって熱を出したと言う事だった。
因みにアイオリアとミロ、そして止めに入ったサガも風邪を引いて寝込んでいるらしい。
「年を取ると色々弱くなるみたいですからね」
「ムウよ、私は18…」
「はいはい、分かりましたからちゃんとご飯食べて薬を飲んでくださいね」
シオンの反論を適当にあしらいながら看病を続けるムウは手慣れたものである。
そもそも只の風邪なのだが、シオンは『私は長くない』とか呟きながらムウを困らせているらしい。
「私がこんなに苦しんでいるというのに、ムウは薄情だと思わんか」
文句を言いながらでも可愛い弟子には甘いらしく、素直にご飯を食べている姿を可愛いなぁなんて思いながら見ている童虎。
そんな中何度も『もうダメだ』と呟くので、シオンに問う。
「シオン、またワシを1人置いてきぼりにするのか」
シオンの頭を撫でながら、13年前の様に又、自分を置いて先に逝くのかと寂しそうに問う、それに対してシオンはすかさず反論。
「だったら早く治るように傍に居て看病をしろ」
「そうじゃのぅ、ムウも大変そうじゃ」
年で心が弱くなると言うよりは、風邪を口実にして甘えたいだけのシオンの目論み通り、シオンの我儘を聞きながら治るまで看病し続けた童虎だった。
【完】