☆矢文.

□2011年童虎誕
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教皇宮の奥にある台所では、シオンとデスマスク二人だけの秘密の会議が執り行われている。

前聖戦後シオンは聖域、童虎は五老峰と逢引きする時間もなかったのだが、今期の聖戦が終結した事により、恋人らしいイベントをしてみたい!!と言うシオンの一言により童虎の誕生日を祝う事に……主にシオンが。

だが最終兵器と言わしめるシオンの手料理、放っておくと十中八九老師が被害に合う事が分かっている為、デスマスクとムウが先手を打ったらしい。

「いいかジジイ、材料は全部手配した、スポンジにこの生クリームと果物だけを乗せろ…他は触るな!」

「生クリームと果物で飾るぐらい私でも出来るわ」

悪態をつきながらも、何だかんだで面倒見の良いデスマスクは帰っていったのだが、シオンは生クリームを手に何かを考えているみたいだった。



次の日の朝。

白羊宮に居たデスマスクとムウの元に童虎が現れる。

「おはようございます老師」

「おう爺さんジジイに祝ってもらったか」

「ああ、飾られたシオンが可愛かったぞ」

笑いながら話す童虎。

デスマスクは童虎の『飾られた』に何かを嫌なものを感じたらしく、聞いてみた。

「爺さん、飾られたって…」

「ああ、生クリームと果物で飾られた全裸のシオンが出迎えてくれたぞ」

自分を飾ったのかよ!!デスマスクとムウは心の中でハモる。
二人の動揺を余所に更に話を続ける童虎。

「ワシが『生クリームより餡子がいいのう』なんて言ってしまって怒らしてしまったがな」

生クリームで飾られたシオンを見た童虎は、小さく呟いたのだがそこはシオン、勿論聞き逃すはずもなく『私の愛が気に入らぬのか!』と激怒したらしい。

「ああ、それで小宇宙通信でわけの分からないことを言ってたんですね」

童虎が来る1時間程前の事、シオンがムウとデスマスクに怒りを露にした小宇宙通信を送り付けてきた。
話の内容が分からなかったので適当にあしらったのだが、老師の話から要約すると『童虎が嫌がったので、来年は生クリームではなく餡子にしろ』と言うことだったらしい。

「私はてっきり、ボケたのかと本気で心配しましたよ」

シオンの訳の分からない行動は何時もの事、ムウはさらりと答える。

ムウの答えに笑いながら、何だかんだで祝ってもらえた事が嬉しい童虎だった。


【完】

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