□まだ先の夢
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夜中の話。
僕を抱きまくら状態で寝ていた了平が、突然大声で叫んだ。

「認めんぞ!!極限俺より強くなければ!!」

どんな夢を見てるのか分からないが、眉間に皺を寄せている所いい夢ではないことが分かる。
起きようにも、抱き枕状態で更にきつく抱き締められているので無理、仕方がないので二度寝する事に。
朝起きてそれとなしに聞いてみたのだが当の本人は、『夢?』と夢を見ていたことを忘れているみたいだったのだが、暫く考えていた了平は、次第に眉間に皺を寄せ小刻みに震え始めた。

「そうだ、京子が!…京子が!」

「京子?」

どうやら昨晩の夢の中、妹が了平に見知らぬ異性を紹介したらしい、しかも結婚を前提としたお付き合いをしていると。
妹大好き了平がそんな事認めるわけもなく、夢の中で『妹と付き合いたくば、俺を倒してからでなくては認めん!!』て叫んだという事。
どんだけ妹が大好きなんだ、この男は……。


涙目で語る了平にちょっとした悪戯を仕掛けてみる事にした。
僕よりも妹が大事らしいから、このくらいの悪戯いいよね。

「ねえ、君より強かったら妹と付き合えるの?だったら僕、立候補できるよね」

頬杖を付いた状態で了平を見上げ告げると、了平はこちらを見ながらさらりと何の躊躇いもなく言い放つ。

「何を言っておる、雲雀は俺の妻になるのだからそれは無理だ」

「誰が妻だ!!」

真っ赤になりながら、すかさず了平に鉄槌を食らわすも、少し嬉しい雲雀だった。

【完】

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