LamonedeU

□‡くれないうさぎ‡
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その鼻をくすぐる桜の香りが心地良く感じる昼過ぎ


視界を横切るは桃色の花弁


青色の背景に桃色の刺繍


こんな淡い色も綺麗だと思った。


いつも見ている色は


貴方の紅だから―――…








  ‡くれないうさぎ‡








「流石に暇ですネェ…」


ふうと溜息を地に落とし飴を口内で分裂させた


目の前に広がるは 人の気配すらない保健室


自分の眼鏡を外し 古びた椅子にもたれ掛かると ギシリと金属が悲鳴を上げた


もう外は春。桃色の花弁が時折
窓の空を潤わす


また一つ溜息を零したその時




「触るなワカメ頭!!!!」


「黙れマヌケ馬鹿ウサギ!!!!」




不意に聞こえた罵声達



(…ギルバート君と…………?)


一瞬分からなかったが
直ぐに脳中に写る黒髪を見れば
自然と笑みが零れた




「…来ましたか。」



ガラリと、スライドする木のドア


そこに居たのは
やはりギルバート君と




「どうしましたか?…アリス君」




額を擦りむいて血が少し滲み、ギルバート君の肩に無理矢理、腕を通されているアリス君がいた。




「この馬鹿。ハードルを逆から飛んで転びやがった。」


「逆に置いたオズが悪い!!!」


「お前が逆に飛んだんだろ!!」



ギャアギャアと喚く二人。


「二人共、ここは保健室ですヨ」


飴をワカメ頭に当てて ささやかなプレゼントとした


相手はまた喚き出したが 廊下からオズ君の声がしたようで


「頼んだぞ。」


とだけ言って首に掛かる笛を
ガチャガチャと鳴らしながら走って行った。


残されたのは顔を痛みで歪む
アリス君だけ



「良いから座りなさい」



「こんなもの唾付けとけば良い」



「それ、唾付けるのも痛いと思いますヨ」



ストンと前の生徒用のソファに座らせる



意外と傷からは血が滲み 今にも垂れそうだった
体育着は白だし 赤が付くのは良く無い。



そう思い 綿で垂れる寸前の赤に触れれば綿が一瞬で赤に染まる



「…消毒しますよ?」



「………っ」



"消毒"の一言で身体は強張ってしまった。
アリス君は本当に消毒が苦手だ



潤んだ瞳で上目使いをしてくるからと笑いを漏らす



大丈夫だよ。そんな意味を込めて


綿に消毒液を染み込ませ顔の高さに持って行くとツンと香りがする


「………」



改めて顔を見ると 目をギュッとつぶっていた



「痛くしませんから大丈夫ですヨ。ほら目を開けなさい?」



目をつぶれば 眉間のシワで傷に少し負荷がかかるだろうに



「……早くしろっ…」



その瞬間 足に軽い圧迫感



その圧迫の元を見て私の口が孤を描いたのが分かる



そこには小さな手



私の黒いズボンを必死に掴んでいたからだ。



その行為に胸が締め付けられる



(あぁ。なんて幼いんだろうか)



少し浮かぶ悪戯心



仕方ない
目を開けない貴方が悪いのだから




「―――…アリス君」




一瞬 身体が動いた所を見計らって 桃色の頬に手の平を乗せる






そして






小さな唇に軽く





自分の唇を重ねた









「………っん!?」




それと同時に 傷口に綿を押す。



ビリッと痛んだからなのか、不意だったからか



「んん…っ」



肩に先程の圧迫感が移動する



(…それは、求めてる行為にしか見えないんですがね)



一通り消毒を済まし 唇を解放すると 息を上げ 真っ赤になったアリス君がいた


「貴様っ…私に何をっ…!!」


叫ぼうとした刹那 熱を持った唇に人差し指に乗せる


案の定 その先を言わない


いや 言えないのか



また 眉間をシワを寄せるから
消毒で敏感になった傷が痛むだろう






「―――…まだ治療中デスヨ」







そう言って頬を撫でれば恥ずかしそうに私の手の平に手を重ねた




「どうしました?」



その手を掴み指先に小さなキスを一つ落とす。



随分言うのを躊躇っているのか
口がパクパクと動いていた






「おい…ピエロ。」




小さく落とされた私の彼女なりのあだ名を聞けば


ハイ?なんて調子良く言って見せた



これから言う事くらいお見通しなのに





「私は……」






モジモジと身体を揺らすと漆黒の髪が揺れた


「なんでしょう?」


ニコリと笑って顔を覗き込む


すると 目を反らされとしまった。



ああ こんな行為すら愛らしい


















「――…今の治療 嫌いじゃないぞ」









それは
荒く強く熱く痛みのある口づけ



揺れる 揺れる 黒髪



熱い熱い口づけ



強い強い唇






(…何か…懐かしい…?)





潤んだ瞳で私に飛び込んできた
幼くも美しい顔




何処か締め付けられる心




それは 唇が離された時に気が付いた










(あぁ そうか)













    ・・・  
(………アリスか。)










私の心に浮かんだ少女は "純白"



昔 会った少女



美しい純白の少女




姿が重なった。





―――…あのアリスと












でも










(…シリマセンね。そんなもの)










私の目の前に居るのは、マヌケな黒ウサギさん。





愛くるしい黒ウサギ。






何も言わない私を覗き込む黒ウサギさんは真っ赤になっていた












「ありがとう。アリス」

















(私の消毒薬になってくれて)




















「―――…愛してる。」
















それは とても滲みる







ぬるまった消毒液















      END









シチューってもし失敗しても
カレー粉入れると意外と食べられたりしますよね☆


私にとっての学パロはカレー粉だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!←




遅れた上に何だこの駄文(泣)


ごめんなさい久音様…っ


白アリスと重ねるブレイクが書きたかっただけです!!!←


はい 本当 すみません(号泣)


つか 小説自体久しぶりwww




誤字脱字あったらこっそり報告かヌルー精神お願いします←



相互ありがとうございました!!





ちなみに緋灑は今だに消毒する時手が震えます←

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