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□貴方に逢えたコト
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...





「っ、」





 ……もうそろそろ沈黙に耐えられなくなってきた。何しろこんなのを30分も続けているのだ。
 姉さんに頼まれた時はこんなことになるなんて思わなかったのに。ああ、それよりとにかく。





(、――話し掛けよう)






 何でもいい。とりあえず何か喋らなきゃならない。黙っていたら物事が進まないじゃないか。事情があるのなら早く聞けばいいんだ。



 意を決して、口を開こうとした瞬間。



「……え?」



 レッドは視線を俺から外して、パジャマのポケットからサインペンを出した。数秒後に認識したのは俺の鼻先に突き付けられたスケッチブック。



 とんとんとそれを指先で叩く彼は、酷く楽しそうで。




『からかってごめんね』



 そこには、細く流美な文字があった。




2010/02/19 up
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