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□たった1つの繋がりへ
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only one.
―たった1つの繋がりへ―
(グリーンの出てこないグリレss sideレッド)
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『いい加減に面見せやがれ!』
――そう、彼からもらったポケギアで怒鳴られたのは数日前のこと。
何でかというと、その時はちょうどグリーンと会わなくなってからぴったり一年経った日だったから。
幼なじみであり良き(?)ライバルと一年も離れているのには流石に怒りたくなったらしい。
勿論グリーンを忘れたわけじゃない。まだ、あの故郷は脳裏にしっかりとある。それに数年前の冒険もきっちり記憶している。
帰りたいとは思うし、そうしたい。けど。
ただ、帰らないのはそれを裏切った自分への罰なだけだ。
……そんなことを考えながら、オレは氷と同じくらい冷たくなったトレーナーカードを撫でる。揺れた衝撃で、中にある8つのバッジのぶつかりあう音がした。
それを拳で包んで、呟く。
「……寒い」
年がら年中寒いシロガネ山だけど、冬が差し掛かってきたらしい、さらに磨きがかかってきた。
自分が寒いだけならいいけど、ピカチュウたちが寒がっているのを見ると何とかしなければとここのところ悩んでいる。
でもここには防寒具はない。ついでに店なんてこじゃれたものもない。
なら、方法は1つしかない。あまり使いたくないんだけど。
「……グリーンに頼むか……」
「コートも持っていないのか!」とまた怒られそうだ。
でもきっとグリーンのことだ、すぐに飛ぶように来てくれる。そしてまた、ジムの人たちに叱られるんだろう。
そうさせているのは自分なのだけども、そんな様子が想像出来て苦笑いがこみあげてくる。
――ああ。こんな雪山でも、想うのは君のことばかりだ。
彼に夢中になりすぎた自身にも苦笑し、白い息を零しながら、赤いポケギアを開く。
そうして、たった1つ登録された番号へと。
Fin.
―
初のグリレ小説でした。最初の英文は直訳でただひとつのものです。
レッドのポケギアはグリーンからもらって、グリーンの番号しかありません。
つうか雪山だよ、電波って大丈夫なのか…?
続編とか書けたら書きたいです。ひたすらグリーンが説教するだけになりそうですが(笑)
それも又良し!
2009/12/17 AM00:51
翠鈴