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□my favorite is...
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 兵助にもハチにも内緒だよ?





―my favorite is...―
(拍手文改正 鉢雷 side三郎)









「ねえ三郎、時々思うんだけどさ……」
「ん、何?」



 久しぶりの休日。2人でのんびり昼寝していると、突然雷蔵が口を開いた。
 すごく真剣な顔をしてるから、何事かとこっちまで緊張してくる。



「あのね、」
「ん?」










「三郎の一番大切で、無くしたら困るものって何?」










 ――――は?





 緊迫した糸が急に切れて、私は体勢を崩してしまった。



 隣の雷蔵はとてもとても真剣な表情をして。私は半目になりながらも、聞き返す。



「無くしたら困るもの?」
「そう。三郎にはたくさんあるでしょう?」



 良い頭も、巧い忍術。それによってもたらされる、明るい未来。


「だから、何だろうな、って」



 誉められてるんだか責められてるんだか分からないんですけどもー、雷蔵さん。



 どうごまかそうか思案していると、「ごまかしは禁止だよ」と釘をさされた。



「そんなこと……」



 選べないし、全部大切だ。
 兵助やハチや、雷蔵や今の環境とか、皆の笑顔とか温もりとか。


 でもそんな答えじゃ雷蔵が納得してくれなさそうだから、仕方なく砂を吐きたくなるような台詞にすることにした。



「一番は……」
「一番は?」



 ずずい、と彼が近寄ってくる。口にするのも面白くないから、唇だけ動かす。
 でも、何も反応がない。気付かなかったみたいだ。



 私は笑って、立ち上がった。



「――やっぱり、教えない」
「えぇっ!? どうして」
「雷蔵には言えないことだから」
「秘密なんて汚いよ! 三郎の意地悪!!」



 そうさ、秘密だよ。



 人差し指を正面に持ってきて、例のポーズをした。



「そうだよ、私は意地悪さ」
「そこで認めるなっ」
「はは、そんなに怒るなよ」
「もう……」



 ふといいことを考えついて、肩を落とす雷蔵に、今度は私が切り返す。



「あぁ、そういえば。そういう雷蔵はどうなんだい?」
「へ」
「だから、雷蔵の一番は何?」
「うー……あ、そ、それは……」
「可愛いね、雷蔵」



 そう言うと、真っ赤になった雷蔵の頬が見えた。



「……三郎は馬鹿だねっ!!」
「はは、意地悪でもあるな」



 すると彼はひねくれて、ぷいとあさっての方向に向いてしまった。ちょっと意地悪しすぎたみたい。



 仕方ないなぁ、と息を漏らし、雷蔵の手をとる。驚いた色を映す瞳に微笑みかけて、



「じゃあ教えてあげるよ」



 まだ紅いそこに指を添えて、耳元に囁いた。





 ――風さえも聞けない、私のささめきごとを。





My favorite is...





Fin.





拍手文を練り直してみましたー。

恐ろしいほどのバカップルになりそうな題材でしたが、それは阻止出来たと思います。危ない。

ここにうpしたので、拍手文も変えたいです。(変えてからうpしろとか言っちゃ駄目)

今度は会話文だけじゃなくて、ちゃんとしたお話にしようと思ってます。

あ、ちなみにタイトルや英文の直訳は、私のお気に入りは…です。まぁ、ここで兵助!とかハチ!って言ったら確実に喧嘩になりますね。

では!


2009/12/06 PM05:22
翠鈴

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