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□clumsy loveU
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とびっきりのをつくってやりたいだろ?
―clumsy loveU―
(鉢雷+兵助+竹谷 美大生現パロ side兵助)
―
「卵と苺と生クリームと……あれ、兵助ぇ、キウイどこ?」
「お前……目の前にあるだろ」
ほら、と指差した先には大量のキウイ。ハチは何個かそれを手にとって、三郎に示した。
「三郎、どれがいい?」
「……これ」
ぶっきらぼうに指名された1つをカゴに投げ入れて、高速でレジに向かうハチ。
慌てて追い掛けようとして、俺は三郎を引っ張る。
「ほら、行くぞ」
「……はいはい」
「何でそんなかったるそうなんだよ。お前の問題だろ。雷蔵と仲直りしたくないのか?」
流石にカチンときて、俺は三郎に視線を合わせた。反らそうとしたのを身体を掴んで阻止し、怒号する。
「まったく、巻き込まれるこっちの身にもなってみろっつーの!!
何つくるか知らないけどさ、とびっきりのをつくってやるんだろ?だったら、いつまでもめそめそしてんじゃない!」
店内の注目が集まる。三郎はしばらく俯いてから、呟いた。
「――――やる」
「それでヨシ」
……こんなきついこと言ってるけど、それもこれもお前を心配してるからなんだからな? 少しは感謝しやがれ。
まぁ、そんな奴らに構う俺も物好きなんだろうけど。
すると、三郎が笑った。
「――ありがとう、兵助」
「分かったらとっとと動け」
ありがとうじゃなくて、ごめんなさいを雷蔵に。
そう告げると、三郎は頷いた。
―
アパートに帰ると、ハチはすぐさまキッチンに向かった。そしてビニール袋の中身をぶちまけて、古ぼけた本を引っ張り出す。
覗きこむと、
「ケーキのつくり方……ってお前、つくる気なのか!?」
「俺がじゃないよ、三郎が雷蔵につくるんだ。三郎呼んできてくれる?」
なるほど。プリンのお詫びに手作りケーキというわけか。それなら、雷蔵も許してくれそうだ。
「ハチにしてはいいアイディアだな」
「ハチにしては、って何だ!」
「あはは、ごめんごめん」
激昂したハチを宥めて、横にいる三郎に問い掛けた。
「やる気、あるよな?」
「もちろん。やる気満々!」
両手で拳をつくってる三郎は満面笑顔。俺は苦笑して、その背中を叩いた。
本を見ると、分量なんかが細かく記されている。
確かお菓子は適当にやっちゃ駄目だったよな……。
とか考えていると、ハチが小麦粉を開けて、
「おりゃ」
そりゃあもう適当に、大量にボールに放り込んだ。
辺り一面に粉塵が舞う。俺は咳き込みながら怒鳴った。
「げほっ、なにっしてんっだああああああっ!!」
「だから、小麦粉入れたんだよ」
「違うっ! お前は馬鹿だろ、そうだろ!!」
「馬鹿って言う方が馬鹿なんですー」
唇とんがらせて懐かしい屁理屈しやがった……。
三郎は失笑を漏らしながら、自信有りげに「大丈夫」と人差し指を立てる。
「なんとかなるって。そんなに怒るなよ」
「いや、粉っぽくなったら「そこは兵助君に活躍してもらいまーす」
人を使うな、と掌を固めてハチを殴る。急所に入ったみたいで、ハチは頭を抱えて座り込んだ。
全く、迷惑な。
溜め息を吐きながら、空っぽになった袋をゴミ箱に投げる。
「悪い、もうちょい付き合ってくれ」
「はいはい」
皆して不器用なんだから、ったく。
俺は三郎を睨みながら、再び息をついた。
(断れない俺も、相当不器用なんだろうけど。)
continue...
―
前後編にならなかった……!!
すみません、まだ続きます。もうちょいお付き合い願います。
兵助が苦労人になってますね(;^_^A
ちなみに、翠鈴はケーキのつくり方が分かりません。
はい。小説書けません。
管理人失格だ!
ネットで調べておきます……。
2009/11/29 PM06:00
翠鈴