2
□青色の幸せ#8
1ページ/1ページ
#8 かくしごと
side 三郎
―
かくしごとというのは、誰にでもある。例に違わず、私もそうだ。決して、明かされてはならない秘密がある。
――雷蔵を守る為のものが。
―
「ねえ、三郎。随分古そうなハンカチだね」
そう声をかけられて、私は身体を強ばらせた。自分の拳の中には、染色剤が落ちかけた青色のハンカチ。
雷蔵が覗き込んできたから、慌てて隠す。これは見せちゃいけない。
すると丸い眸が訝しげに細められた。
「ん……? なんか、見たことがあるような、ないような」
「気のせい気のせい! これ、10年前のだからまだ雷蔵と会ってないよ。雷蔵が知ってるわけない」
「あぁ、そう? ならいいんだけど」
おかしいなー、と首を傾げる彼を見る私は冷や汗でびっしょりだ。
視線が反らされている間にそれをポケットに入れる。雷蔵は気付かない。
私はほっと胸を撫で下ろした。
いつまでこうやって、隠し事を出来るんだろう。いつまで友達のままでいられるんだろう。
きっと、雷蔵は私のしたことを知ったら離れてしまう。軽蔑して、二度と話せなくなる。
そんなの、私は、嫌だ。
雷蔵はそういえば、と話題転換した。
「三郎って、小学校ってどこだったの?」
「は?」
「あのね、僕小学校の1年生のとき、ここに住んでたの。それから中2まではお父さんの都合で九州にいたんだけど……。
同じ小学校だったのかなぁ、とか思って」
あぁ、好奇心って本当にやっかい。
私は北を指差して、口を開く。
「あっちにある小学校。雷蔵は?」
「僕は東側だから……そっかあ、やっぱり違う小学校だったんだ。だって三郎のこと知らなかったもん」
「はは、案外初対面じゃないかもしれない」
「えぇ?」
びっくりする雷蔵のほっぺたをつついて、嘘だよー、と微笑む。
そう、小学校は違った。かなりの距離があったから、帰り道ですれ違うこともなかったと思う。
その頃から、雷蔵は純粋で汚れなんて知らなかったんだろう。私は、あの頃から……。
深く淀んだ思考に落ちかけて、私は頭をぶんぶん振ってそれを追い払った。
雷蔵は変なのーと吹き出して、笑っている。
「笑うなよ」
――でもね、雷蔵。私はあの頃から確かに君を知っていたし、想ってた。
雷蔵は、それを知らないけれど。
記憶喪失なんかじゃないよ。そんなベタな理由じゃない。
もっともっと、苦しくて、泣きたくなるくらいだよ――。
continue...
―
大分間が空いてしまいました……久しぶりの更新でした。
たらたらやってたらもう8。しかも最初と大分空気が違う。
バカス私☆
書き始めた頃に戻りたいです。書き直していいですか。コンテニューしたい。
そして、兵助と竹谷がいない…!!ごめんよ。
次は出します。
では、失礼しますっ(逃)
2009/10/31 AM00:20
スランプ中翠鈴