お話(未完成)
□宇宙の小さな片隅で(番外編)
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《宇宙の小さな片隅で》番外編〜キラ〜
ゆっくりと優しい時間が流れていく。
白くて大きな教会の扉の前に二人は立っていた。
「はい、カガリ!」
自分の唯一の血縁者
今までの時間、すべてを半分ずつ分け合ってきた片割れ。
「…っつ、キラ!」
本当は色々と言うことがあったはずなのに…
「ほら、泣かないの!」
涙で滲んだ向こうで優しく微笑むアメジストの瞳。
「まだ、式は始まってないんだよ?ほら、唇を噛まない!キスする前に口紅が落ちちゃうよ?」
いつもは泣くのは彼のほうが先だった。
それがいつの間にか泣かなくなって…今や立場は逆転している。
「ふっ、ふぇっ…」
とうとう瞳から大粒の涙が落ちだす。
「もう、カガリってば…」
そうため息をついて胸にしまったハンカチを取り出す。
「これじゃ、アスランに睨まれちゃうじゃない。」
「う〜…っ、だってぇ…」
そっと拭かれる涙のあと。優しくされれば余計に涙は出てくる。
「ほら、時間だよ?」
まだ引かない涙を苦笑いで見つめて肘を出す。
そこに白い手袋をした細い指が置かれる。
昔は髪と瞳の色が違うくらいであとはほとんど同じ体型だったのに。いつの間にか心も体も自分とは違っていく。
そして今日、自分以上の人と寄り添って歩いていく。それは少し、孤独を感じさせることだけど…
「カガリ、幸せにね。」
目の前の大きな扉が開かれた瞬間、キラはカガリにそう囁いた。
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