お話(未完成)

□クリスマスなんて大嫌い
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「やだ、怖〜い!」
「そうですよ!彼氏がいないの自分だけだからって!」
「だからお局様とか言われるんですよ!」

口々に叫ぶ後輩達。

「うるさい!クリスチャンでもないくせにクリスマスなんか…」

「でも、毎年、ケーキだけは買ってるじゃないですか!」

「しかもホールで!」

「ケーキをホールで買って一人で食べて何が悪い!」

カガリが叫ぶと部下の女の子たちは

「怖〜い!」
「だから彼氏が出来ないんですよ!」
「もういい歳なんだし…」

「五月蝿い!黙れ!」

そう言って書類を丸めて彼女たちに投げつける。

「暴力反対!」

毎年のことながら彼女たちは散り散りに逃げていく。

この時期のカガリは誰かの幸せを願ってやるほど、優しくはなかった。



「相変わらず、怖いわねぇ…」

「聞こえてます!」

カガリが顔を上げずに叫んでいると、エリカ・シモンズ編集長は苦笑いをした。

「毎年のことながら騒がしいわね。」

入社してから六年。
一人前に働くカガリは小さな出版社の若手ポープだ。

「仕事とプライベートは別ですから。」

眼鏡をかけてパソコンに向き合いながらカガリは記事を打ち込む。

「クリスマス嫌いが書くクリスマス企画…ね。」

毎年、この時期はどこの出版社もクリスマス特集をしている。
カガリの勤める会社も同じなわけで…

『恋人と過ごすクリスマス』
『クリスマスを甘く過ごす方法』


カガリが担当のクリスマス特集は以外と評判がいい。

「恋人とイチャイチャ…なんて外道!」

そう言いながらも紙面から漂ってくる甘い雰囲気。

「....以外と彼女が一番、クリスマス好きで夢見てるんじゃないかしら?」

今日も鼻息の荒いカガリを見つめながら、エリカはやれやれと自分の仕事に取り掛かった。


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