お話(未完成)
□ミカタのミカタ
1ページ/34ページ
クライン探偵事務所
それは郊外にある女性専用の探偵事務所
今日も悩みを抱えた女性が一人、扉を叩く
《ミカタのミカタ》
呼び鈴を鳴らすと、電子音がして鍵が開いた。
中に入ってみると、正面には長いピンクの髪の美女が座っていた。
「ようこそ、クライン探偵事務所へ」
ニッコリと微笑む彼女は、入ってきた女性をソファーに座らせると、自分も向かい側に座った。
「御予約されているミリアリア・ハウ様ですね。今日はどういったご用件で?」
落ち着いた優しい声、優雅な物腰…この人、絶対に金持ちだ。
ミリアリアは瞬時にそう悟った。
だって着ている服からアクセサリーまで、自分の手が届かないくらいの値段だろう…
「…いえ…あの…」
ミリアリアは後悔しだした。
向こうは金持ちの道楽っぽいし、こっちは自分のプライドさえ押し込めれば何とかなる話だ。
高い探偵料金を払ってまで頼むことでもないのかも知れない…
「私…」
やっぱり、断ろう…そう思って口に出そうとしたとき
「どわ〜!遅刻した!」
扉を勢い良く開いて、金髪の女性が入ってきた。
「ゴメン、ゴメン。寝坊しちゃって!」
ボサボサの髪、シワの寄ったシャツにジーンズ。
背中のリュックは日に焼けてボロボロだ。
「あ、ら…依頼人?悪い、悪い。」
罰が悪そうに彼女はそそくさと奥のツイタテに入っていく。
「えっ…と、今のは?」
「も、申し訳ありません!ウチのアルバイトですわ」
何故かピンクの髪の女性は落ち着きなく、腰を浮かせた。
.