幸せな時間
□指輪
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それは手錠だったのかもしれない
君の心を繋ぎ止める
ただその為に
プラントによる、月の連合軍基地『ダイダロスの砲撃』から、俺達がオーブを守って幾日か過ぎた
カガリは相変わらず多忙な毎日を送っていて、休む暇なんてない
一度失いかけたオーブ政府の信用を、必死に取り戻そうとしているのだ
だから……
自分自身の事が後回しになる事情も解ってる
正式にオーブの軍人として、アークエンジェル所属の専属パイロットになった俺
戦闘及び災害派遣の任務がない日々は、モルゲンレーテ開発室の特別常勤
それなりに忙しい日々を送っている
仕事があると言うのは……日々充実もしているし、何もしていなかった少し前に比べれば随分と心に余裕もできる
軍の寮生活にも随分慣れたし……結局、自分はこう言う方が似合ってるんだろう………
勿論………
カガリの事を諦めた訳じゃない
今でも彼女を一人の女性として愛しているし、これからだって………
だけど………
心の隅で、今だ拭いきれない不安
指輪………
俺は………
君に手錠をしたかったんだ
繋ぎ止めたくて
俺の事を忘れてほしくなくて
自信がなかったんだ…………
人の想いほど曖昧なモノはない……と良く言うけど
じゃあ、その想いが込められてるモノが在れば……
その想いは永遠なのか………?