お話(完結)
□彼の部屋
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好きな人と一緒にいたいから…その気持ちは日毎に大きくなっていく。
だけど、彼はなんとも思ってないみたいだ…
《彼の部屋》
「宿題?」
「うん、今日の数学って難 しくって」
いつもの帰り道、いつもの会話。そしていつもの…
「じゃあ、カガリの家で」
まただ。
カガリはそっとため息を着いた。
長年の片想いを実らせ、やっと恋人同士になったのに…この鈍感野郎!
さりげなさを装いつつ、隣りにいる恋人にカガリは尋ねる。
「あ、あのさぁ…たまにはアスランの家でしたいんだけど…」
「ゴメン。今、散らかっているから」
即答だよ…。
勇気をだして誘ったのにアスランの返事はそっけない。しかもカガリのほうを見ようともしない。
なんだよ…つまんない!
アスランの家は両親が出張中で一人暮らしだ。一方、カガリの家は双子のキラ、専業主婦の母もいる。
誰もいない場所で恋人と二人っきり…付き合いだした当初は毎日、ドキドキした。しかし一週間、二週間…三週間…一ヶ月。この恋人は手も繋ぎはしない。
「何やってんだろ…」
普通は男の子ってもっと積極的なんではないだろうか…
俯きながらカガリは、この日何度目かのため息をついたのだった。