お話(未完成)

□優しい獣人
3ページ/55ページ




「〜っ!ラクスの奴!」

ここら辺は一番最初にゴミ収集をする。
急いでゴミを持って出ると

「おはよう。」

収集場所に向かう途中で声をかける。

「あ、おはようございます。」

金色の髪をなびかせ、頑張ってゴミを出す姿にアスランはホッとする。

「大丈夫?持とうか?」

華奢な体で大きなゴミ袋に手を出そうとするが

「大丈夫です!」

ありがとうございますと笑う顔は汚れを知らない天使そのものだ。

「お互い、いつも大変だな。」

名前も知らないご近所さん。
毎朝、顔を合わせては世間話をする程度。

「そうですね。」

そう笑う姿にアスランは癒されているのは確か。

「じゃ、いってきます。」

ゴミを出して元気よく挨拶をして駆け出す少女。

「いってらっしゃい。」

そう言うとアスランは手を振った。

「全く、アイツらにも見せてやりたいぞ!」

外では可愛いだの美人だの持て囃されてる姉と妹たち。
だが、実態はちがう。

父が亡くなり、仕事でいない母の変わりにみんなで家事を分担しようと話し合ったのに…

「ごめんなさい、仕事が…」

社会人一年生の姉、ラクス。

「あ〜ん、学校の宿題が!」

高校生のルナマリア。

「私、受験生なの!」

中学生のメイリン。


女姉妹に挟まれた自分の境遇に哀愁さえ漂って来る気配がした。



次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ