グロッチ・ストーリー〜心の闇物語〜

□ブンブンの人生
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その頃、ブンブンは緑溢れる草原を歩いていた。肩には、2つの水晶がはめ込まれた剣を背負っていた。




 「ハァ。何が魔法の国よ。魔法使えんなら、魔法の絨毯とか、空飛ぶ箒とかないの。」
そう呟きながら、ブンブンはひたすら歩いていた。
 「…あっ。やっと着いた。」
しばらく歩くと、ブンブンの目の前に町が見えてきた。そして、ブンブンは急いでその町に向かった。
 空は茜色に染まり、闇が包もうとしていた。




「今日はこの町で休むか。」
そういうと、ブンブンは徐に町中を歩き出した。目をやる場所は人目のつかない、裏路地などだった。
 そして、体を休めそうな、薄暗い裏路地の隙間を見つけた。


「よーし、ここでいっかー。」


そう言ってその路地に向かっていた。そして、見つけた場所を覗き込んだ。






 「おう、なんだい。」
いきなり穴の中から話しかけてきた。



 「えっ。えええっとー。す、スミマセンでした。」
ブンブンは焦りながら、謝った。しかし、その声の主は穴から出てきて、ブンブンを睨み付けた。



「ああーん。なんだ、おまえ、旅人かぁ?旅人が俺達になんのようだよ。」

男がブンブンに近寄ると、強烈な匂いがブンブンを襲い、ブンブンは意識を失いかけた。しかし、手で口を押さえて耐えて、男に言った。


 「わ、私…。宿探しているんです。」

「よどぉー。それだったら表いけや。」

「いけないんです。」
「ああん。何だってぇ。」

「私、人と会うのが恐いんです。」
「お、おめぇ…。」
男は唖然とした。17歳の少女が発言する言葉と思えなかった。
 

 その後、2人は、黙り込んだ。ブンブンの体は、震えていた。それを見た男は、ブンブンに話しかけた。
 

「お譲ちゃん…。なにしたんだ。そんなに恐れられる事しちまったんか。」

「えっ?」
「大丈夫。俺らの仲間だ。心配はいらねぇよ。生きる事はできるから。」
かってに話が進められた。


 「さ、こっちへおいで、これからは俺が面倒見てやるから。」
そう言って男はブンブンの手を掴んだ。

「えっ。っちょ、待って。」


小さい声しかでなかった。恐くて、恐くてどうしようもなかった。必死に振り払おうとするのだが、男の力は強く、抜け出す事はできなかった。
 「いい子にしていてね。」

「いやーーーー。」
その時、男はいきなり倒れ込んだ。その様子を見たブンブンは驚き、そして、疑問が生まれた。


 「さあ今のうちに逃げるんだ。」
いきなり、声がブンブンの耳に入った。そして、気づいたとき、ブンブンの腕は男ではない誰かに掴まれていた。
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