『翡翠の欠片』

□第五章〜伝承〜
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「勾玉のこととか、豊玉姫のこととか、私達は知らないことが多過ぎるから、調べてみたらどうかと思って。知れば何か対策が見つかるかも知れないし」

「知らないことを知ろうとするのは良いことだけどね。一人で動くのは危険だよ」

 そう珠洲を諭した亮二が壬生兄弟に視線を向ける。

「頼みがあるんだけど、いいかな?」
「……なんだ?」

「見ての通り、僕達は満身創痍だ。君達は強いし、比較的傷も浅い、だから君達に彼女の護衛をしてもらいたい」

 亮二の唐突な提案に、皆が驚く。

 晶、陸、そして何故かエリカが不満そうに亮二を睨むが、反論が出来ない。

 自分達では実力不足であることを、知っているから。

「随分、直球だな」

 呆れたように克彦が言う。

「今は緊急事態だからね。形振りかまってはいられない。出来ることなら僕が護ってあげたいけれど、昨日の戦いでこの様だ。彼女を護ることを最優先に考えれば、君達に頼むのは当然の結論だよ」

「……ふん、仕方ないな」

 その返答に珠洲は驚く。

 昨夜のことで、珠洲は克彦の考えていることが分からなくなった。

 だから、護衛を引き受けてくれたことは本当に驚きだった。


 
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