『翡翠の欠片』
□第二章〜敵〜
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「ごめんなさい、亮二さん。いつも騒がしくて」
「別にかまわないよ。大勢で食べるほうが楽しくていいからね」
教室の空気は珠洲にとって居心地の良いものではない。
だから、毎日司書室の亮二の元へ来ていたのだか、それを知った晶と陸も来るようになり、最近は典薬寮の二人も加わった。
確かに亮二の言う通り、大勢のほうが賑やかで楽しいのだが、晶とエリカはよく言い争いを始めてしまうので、珠洲ははらはらさせられる。
「それにしても、玉依姫に挨拶に来たってことは、その壬生兄弟はこちら側の人間ということだろうね」
こちら側。
一般人では無く、カミや妖に関われる能力の持ち主。
「そうだと思います」
「ふん。どの程度の能力者かは知らないが、玉依姫に害をなすようなら容赦はしない」
「物騒だな、重森君。相手は人間なんだから穏便にしてくれよ」
「お前に指図されるいわれは無い」
晶が保典を睨むと、彼はうっと後ずさる。
「負けてんじゃないわよ」
「う、うるさいな。エリカは黙っててくれ」
「何よ、その言い方。自分が正規派遣者で私がサポートだからって、偉そうにしないで」