『琥珀の露・短編』
□もしもｴﾝﾃﾞｨﾝｸﾞ・朔夜
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封印の為の犠牲となること。
封印を強化する為に、自らの命を捧げること。
それが、彼に課せられた役割だった。
諦めることで、辛い役目を受け入れたと言っていた。
希望を持つことが、辛いと言っていた。
そんな哀しいことを言って欲しくなくて。
柔らかい口調。
穏やかな微笑み。
優しくて、時々ちょっと意地悪で。
ふいに見せる慈しむような笑みが、本当に綺麗で愛しくて。
私の前から、居なくなってほしくなくて。
彼を失いたくなくて、私は必死になって頑張った。
そして、贄の儀を行うことなく戦いは終わった。
彼は今、私の隣に居る。
今でも時々見惚れてしまうくらい、綺麗な微笑みを浮かべて。