『琥珀の露・下巻』
□終章〜五月晴れ〜
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五月の始め、大型連休の二日目は見事な五月晴れだった。
心地良い天気に誘われるように、私は家を出る。
封印を築きなおした後、この村にはいつも通りの平穏が戻っていた。
雷洸はこの地を去った。
私達に封印を任せて。
「志穂ちゃん、散歩?」
前から晴海と朔夜が歩いてくる。
「ひとりで出歩くくらいなら、声かけてくれたらええのに」
「日中とはいえ、用心は怠るべきではないよ。玉依の巫女」
二人は言うが、今のこの村がさほど危険ではないことは彼らも承知している。
築きなおした封印は前より強固なものとなり、村に住まう妖の数は以前より減っていた。