『琥珀の露・上巻』
□第六章〜封印の巫女〜
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ふらふらとした足取りで私は家まで帰った。
電気も点けずに縁側に座り込む。
「私、馬鹿だ……」
絶望と後悔で一杯で胸の内に溜まった感情を上手く制御できない。
「苦しいよ、凄く苦しい……」
もう、どうしようも無いのだろうか。
私には何も出来ないのだろうか。
贄の儀。颯が見守り、晴海が殺し、朔夜が殺される。
あんなに仲が良かったのに。
あんなに楽しそうだったのに。
苦しくないはずが無いのに。
哀しくないはずが無いのに。
それでも彼らは、儀式を行う。
多くを守る為の、小さな犠牲になる。
「―――っ」
我慢していた涙がとうとう溢れた。
もう止めることが出来なかった。
止めるつもりも、無かった。