『琥珀の露・上巻』
□第三章〜壊れた平穏〜
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翌日の月曜日、颯はとうとう学校に姿を現さなかった。
朝と同じように晴海と朔夜に家まで送ってもらいながら、私は颯のことを考えていた。
「颯、何してるんでしょうね?」
「さあな、あいつは時々単独行動したがる奴やから」
「でも、昨日の事もあるのに……」
一人で行動していては危険なのではないだろうか。
金髪の少年は明らかに悪意を持っていたのに。
「大丈夫だよ。颯は強いから、そう簡単にやられたりはしないよ」
朔夜が安心させるように微笑む。
確かに昨日の戦いの様子から、颯がかなりの戦闘能力を持っていることは確実だ。
心配し過ぎなのかもしれない。
ふと視界の端を光るものが掠めた。
「……? 晴海先輩、ピアスなんてしてましたか?」
晴海の左耳にはピアスがつけられていた。
細いチェーンの先に一センチ程の丸い粒がついている。それが夕日を反射して光ったようだ。