『琥珀の露・上巻』

□序章〜訪れた村〜
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 猫は化ける。

 狸は化ける。

 狐は化ける。

 人に在らざるモノが人型をとり人に混じり人と交わる。

 時を経て血は薄れ、力は薄れ、彼らは人に近しくなる。


 けれど、そこまで。


 身の内に流れる人ならざる血は決して消えず、それ故に彼らは人に成りきれない。

 外は人、内は妖(あやかし)。
 永い時、人の傍に在る人型の妖。


 彼らの心は、今だ狭間を彷徨(さまよ)い続ける―――…。


 
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