『翡翠の欠片』
□第四章〜対面〜
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「どういうことなんだ? 守護者が五人だなんて、聞いたことも無い」
「いや、確かに守護者は代々一人だったけど、初代の時は五人いたはずだよ、晶君」
昼休み、いつものメンバーが司書室に揃っている。
「でも、一気に五人に増えるなんて……」
昨日の放課後、壬生兄弟が守護者に選ばれたことに珠洲は驚いたが、同じ時刻に更に驚くべきことが起こっていた。
陸と亮二も天蠱とは違う敵に襲われ、その戦いの最中に宝具に選ばれていたのだ。
「もっとも、一人はとっくの昔に守護者になっていたのをずっと隠していたわけだけど?」
エリカが亮二を睨んで言う。
「黙っていたのは悪かったよ。僕は先代の時に守護者に選ばれていたけど、守護者になる決心がつかなくてね。辞退したんだ」
「辞退? 随分身勝手ね」
「そのことについては申し開きのしようが無い。黙っていて悪かったね、珠洲ちゃん」
「いいえ。亮二さんには亮二さんの事情があったんでしょうから」
「珠洲、あなた優し過ぎるわよ」
溜め息をつくエリカ。
「そういうところが彼女の良いところだって知ってるだろ、エリカ」
「……まあそうだけど」