『翡翠の欠片』
□第三章〜発現〜
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翌日の昼休みは重い空気の中で食事をした。
昨日敗北を味わったメンバーは口数少なく、エリカが激励してようやく話しをする程度だった。
いつも通りの壬生兄弟は、彼らの様子には頓着しない。
そして、話し合われた御子柴圭と名乗った男のこと。
だが、話し合いだけでは何もつかめず、それぞれ彼について調べることと、玉依姫として狙われている珠洲は決して一人にならないことという決まりだけを決め、その日は解散となった。
その日の放課後、図書委員の仕事をしていた珠洲は、玄関で壬生兄弟と鉢合わせした。
「あれ? ねーちゃん、今から帰るのか?」
「うん。小太郎君達も?」
「そうだけど……」
言いかけた小太郎は周りをきょろきょろ見回し、首をひねる。
「ねーちゃん、一人で帰っていいのか?」
珠洲は一人だった。
「無責任な守護者だな」
克彦が侮蔑を込めて言う。
「なんだと……」
唐突に背後から聞こえたのは、怒りに震える晶の声だった。晶の隣には陸が居る。
二人で珠洲を待っていたのだろう。
「なんだ、居たのか。だが、傍に居ても護れないのでは意味が無いがな」
「くっ……」
昨夜、敗北を味わった晶は反論出来ずに唇を噛む。