『翡翠の欠片』
□第二章〜敵〜
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「確かに転校生が来るという話は聞いているよ。三年と一年に入るって聞いたけど」
「あ、確かにお兄さんの克彦さんのほうは私より年上で、弟の小太郎君のほうは私より年下みたいだったよ」
お昼休み。
珠洲と陸、晶、そして典薬寮の二人は亮二のいる司書室に集まりお昼ご飯を食べていた。
話題は昨日珠洲が遭遇した得体の知れない人物、壬生兄弟の事。
「でも、今日はまだ来ていないみたいだった」
同じ一年の陸が言う。転校生が登校して来たなら、噂にならない筈は無い。
同じ学年である陸が知らない筈は無いだろう。
「手続きとかあるからね。今日はまだ授業は受けないのかもしれないね」
「まったく、また厄介なのが増えるという事か」
晶が不機嫌そうに呟く。
「またとは何よ。私に喧嘩売ってるの?」
「そう聞こえたなら、そうなんだろ」
「何ですって……」
「まあまあ、エリカ。食事中なんだから落ち着いて」
「晶さんも、むやみに喧嘩を売るのは止めてくれ。弁当が不味くなる」
保典と陸が火花を散らす二人の間に仲裁に入る。