『異能のトリオ』
□その3
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中性的な顔立ちは年齢を推察するのが難しく、二十代から三十代であることしか分からなかったが、男物の着流しに包まれた体格が華奢(きゃしゃ)なことから女性であることだけは分かった。
その人物を見た師走は露骨(ろこつ)に嫌な顔をした。
「そんな顔をすることは無いだろう? 弟の友達に挨拶をしに来ただけなのに、姉さんは悲しいよ」
「貴女の場合、俺で遊ぶことが目的でしょう?」
「酷い言い方だねえ。まあ、いいや。初めまして、姉の譲葉です」
にこやかに挨拶をする譲葉に、咲人と威社狐は自己紹介をして頭を下げる。
「それで、威社狐君と咲人君は今後どうするつもりなのかな?」
「姉さん、何を?」
「師走は黙ってなさい。私は二人に訊いているんだよ。学校で問題が起こっていることは知っているよ。
師走は自分が解決すると言っているんだけど、君達はどうなのかな?」
威社狐と咲人は顔を見合わせる。
「それは勿論」
咲人が好戦的に笑う。
「首突っ込むつもりだよ」
威社狐がにいっと悪戯を企む子供のような顔で笑う。