銀魂

□Forget
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忘れる。

そうか。

俺は忘れていくんだ。


なんでだよ。
なんで死んだんだよ。
さっきまで、そうだよほんの10分ぐらい前は
笑ってたじゃねぇか。

俺のせい

だな。

――――
――


「土方さん」
「なんだよ」
「なんで、あれから1年しかたってねぇのに、あいつの笑った顔を思い出せなくなってきてるんでしょうかねィ」

あれから1年。
あいつは攘夷浪士のテロに巻き込まれて死んだ。
真撰組が駆けつけるのが遅れたからだ。
あいつは俺たちがよく行く甘味処の娘だった。

「あれから何回もこの甘味処に来てんのに
だんだん思い出せなくなってきやがる」
「そうだな」

俺は団子にマヨネーズをかけた。
なにかをしていなければ、瞼からの「なにか」を抑えられない気がしたからだ。

「馬鹿野郎。死んだ奴の顔いちいち覚えてて見ろ。
俺らの頭ン中どんだけ人の顔だらけになると思ってんだよ」
「あいつは例外でしょ。特に土方さんには」


忘れる 
なんて悲しいことなのだろうか。
それは、どれだけ頭が良かろうが
悪かろうが、変わらない。

それは人間が、あまりにも多くの情報をやり取りしているためだ。
昔の記憶は薄れて行く機能を持っている。

あぁ、なぜ愛する人さえ
過去になってしまうのだろうか。

一番忘れてはいけないことを
俺たちは忘れてゆく。

そうでなければ生きられない。




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