Doflamingo
□マッチ売りの少女ごと買いしめる
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ぎゅっとキツく雑巾を絞って、自分の手もよく洗った。
冬時期の水道水は実に冷たくて、手をすすいでいるだけでみるみるうちに指先の感覚までも流れ出てしまう。
冷えきった指先を自身の唇に押し当てると、じんわりと冷たさが唇に浸透する替わりにほんのりとした温もりを指先に感じる。
「フフッ、マッチは無いのか?お嬢さん」
そんな言葉と共に掴まれた手は、言葉を紡いだ当人の唇へ。
そっと押し当てられた唇は熱くて、すぐに私の冷たさを奪い去った。
「ドフラミンゴさん。あいにくマッチは…煙草ですか?」
「なんだ、てっきり“マッチ売りの少女”かと思ったが違うのか」
首を傾げれば、真っ赤な指を温めているその様がまるでそんな風に見えたのだと教えてくれた。
「あ、ありがとうございました。唇が冷えてしまうのでそろそろ…」
離して欲しいという言葉が思わず引っ込む。
心しな感覚を取り戻した指先に感じる、ざらついた感触。見やれば、ちらりとのぞく赤い舌。その熱い舌が私の指を舐めあげる度、その感触もまた鮮明に全身を駆け巡る。
完全に感覚を取り戻した私の指は、その熱い口内に咥えられ、絡み付く温もりと時より当たる尖った歯の刺激に神経はパンク状態。
「フフフッ、少しは温まったみたいだな?」
自身でも分かる程ほてった頬を撫ぜるその長い指に、更に身体の中心まで熱が疼く。
「ド、フラ…さん……」
「もっと暖めてやるよ名無しさん。夢じゃない快楽と一緒に」
マッチ売りの少女ごと買いしめる
(さァ、大人の童話の時間だ)