crocodile

□舐めて吸ってよく噛んで味わいたいくらい愛して
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*微エロ



唇に指を当てがうと、かさかさとした感触が指先に引っ掛かる。
どうしたものか、とそのままうろうろと部屋の中をあさっていると、不審げな声が響いた。



「何してる」

「クロコダイルさん…あぁ、唇が切れてしまいそうなので何か無いかと…」



リップクリーム何て言うものがこの部屋にあるとは思えないけれど、救急箱の中にくらい代用品がないかと僅かな希望を秘めてそれを探していた。

ふと歩み寄ってきたクロコダイルさんは私の顎を捕らえると自らの方へ向ける。
何かと思いその瞳を見つめ真意を探るも、一向に見えて来ない。かと思えば顎を捕らえる手はそのままに、その人指し指が私の唇をなぞった。

それでも意図が分からずじっと瞳を見つめては疑問符を浮かべていると、やわらかく唇をなぞっていた指にぐっと力が込められた。



「…!」



痛みと感じるすれすれの感覚に、びくりと肩が竦んでしまう。

すると、明らかにクロコダイルさんの表情が変化した。
うっすらと笑みを携えた口元で、私の唇をもうひと撫で…したかと思えばまたぐっと指先に力を込める。しかも今度は切れかけているその割れ目に爪を捩じ込むものだから、確かな痛みが喉の奥から漏れる。



「い、っ…」



しかし、ここで“痛い”だ“やめて”だと騒ぐのは彼を喜ばせるだけ。彼の性格を考えれば、頭によく擦り込んでおかなければならない注意事項だ。

だから飲み込んだ言葉の替わりに、じっとまたその瞳を見つめた。


しかし、人の真意とは奥深くにあるものらしい。

見やれば、更につり上がった口角。
その指はまたゆっくりと唇の端から端までをなぞり、ぐっと割れ目に爪をたてる。痛みを感じるよりも先に、たらりと顎を伝う感触に背筋がざわついた。
クロコダイルさんは私の唇から流れ出た赤い液体を見やると、それをべろりと舐め上げそのまま唇へ噛み付く様に吸い付いた。

舐め取ってはじわりと滲むそれを、吸い取ってはまた舐めて、滲まなくなったらわざと噛み付いてまた滴るそれを舐め取って…


決してくちづけとは違うそれなのに、ぞくぞくと全身を這う痺れに堪らなくなって小さくクロコダイルさんのコートの裾を握った。



「まるで、お前をはじめて抱いた時みたいだな」



私の唇から離れたクロコダイルさんは、至極愉快そうに目を細めていた。



「“割れ目”に捩じ込むと顔を歪め、丹念に舐めてやるととろとろに溢れ出てくる」



もうすっかり血の止まった唇をなぞるその指。



「舐めても舐めても溢れてきてはおれを飽きさせない。まァ、それは“はじめて”にかぎらねェか」



首に当たったひやりとする感触に気を取られていると、彼の手はいつ知れず下へ。
やっと真意を読み取った時にはもう遅く、先程まで唇をなぞっていた指は下着越しに私の秘部をなぞっていた。



「…!、ぁ、」



びくりと身を捩るも、首をつく鋭い刺激に身が竦んだ。



「動くと刺さるぞ」



私の首にピッタリとはまった鉤爪。僅かに食い込んだその切っ先の行く末は、確かに私の動きにゆだねられているようだ。



「良い子だ」

「!、ぁ、ゃ…」



足の間には彼の膝が割り入って閉じる事が出来ない。
それを押し退けようにも首に当たる鉤爪が…と成す術など無いまま彼の良い様に事は進む。



「…、ん、」



それはまさに、唇へ施したのと同じ様にじっとりとした動きで私を追い立てる。
端から端までゆっくりと行き来しては、時より中心部にぐっと圧力をかける。
その度身体はびくりと竦み、いい知れない感覚が競り上がってくる。



「クロ、コ…ダイル、さん…」


 
切羽詰まっった声で何とかその名を紡げば、止んだ刺激。
解放された…そう息つく暇も無く、その指は事もあろうに下着をかき分けて侵入してきた。



「!、や、ぁ…ぁ!」



先程と同じ様に秘部をなぞる指。しかし直に感じるその指先に、感覚機関は敏感に反応してしまう。

端から端までをなぞると不意に中心を強く押しやられた。そして奥から溢れてくる感覚に、背筋が堪らずざわついた。
彼の指一本で私の腰は砕けた様にびくついて、自身の身体ひとつ支えられなくなってはその厚い胸へしなだれ掛かるしかなくなってしまう。



「フッ、こっちも舐め取ってやらなきゃならねェなァ?」



とろりと彼の指に絡み付く液体。その指を舐め上げると、彼は何とも欲情的な顔で私の腕を引いた。

引かれるまま預けた身体はソファーに横たえられた。それからはあれよと言う間に下着をはぎ取られ、あられもなく広げた私の足の間へ顔を埋める彼を、押し返す事も出来なかった。
出来ないまま、その熱い舌が私の中心を舐め上げた。



「んぁ!ぁっ、んぅ、やぁ…!」



舐め取ってはじわりと滲むそれを吸い取ってはまた舐めて…
彼の舌が行き来すればする程に溢れ出すそれ。舐め上げられ、吸い取られる度に押さえきれなくなる声。



「こっちのはなかなかとまらねェなァ。むしろどんどん溢れてきやがるぜ?名無しさんチャン」



至極愉快そうな声音のクロコダイルさん。彼の指が小さな突起を弾くと私の腰はがくんと震えて、強過ぎるその快感から逃げ出そうともがく。



「もっ…、やぁ、ん…!」



どうにか僅かに上体を起こしては彼の頭を押しやる。
いくら愛しい人だと言えど、突如ソファーに組み敷かれあられもない部分を舐め上げられるなどという羞恥には耐えきれない…
 
懸命の抵抗に彼の頭がやっとの事で離れた。



「…動くと刺さる、と言っただろ?」



肩で息をしつつ、朧んだ彼を見上げるも意味が掴めない。何故なら今私の首に鉤爪は当てがわれていないから。

何の事か、尋ねるより先に“答え”は私の中へと侵入してきた。



「ひ!、んあぁ…!」



とろとろの秘部に挿し込まれた1本の指。
それはぐちゅぐちゅと卑猥な水音を響かせては私の中を縦横無尽とかき回す。

私はただひたすらに自らの指を咥え、そのどうしようもない快感から逃れるのに必死だった。



「逃がさねェよ」



媚薬の様に淫美で、麻薬の様に中毒性のあるその声は、絶対的。

その絶対性から私は逃れられない。いや、多分はなから本気で逃れようと思っていないのかもしれない。



「ふっ、んぅっ…、」



外された手の替わりにやって来た齧り付く様なくちづけに、ぷつりと弾けた唇。

またも流れ出たその赤い液体を舐め取っては吸い取ってまた舐めて、滲まなくなったらわざと噛み付いてまた滴るそれを舐め取って……


このまま彼に食べ尽くされてしまいたい等と思ってしまうのは、私の頭がとち狂ってしまったからなのか、あるいは彼を心底愛してしまっているからなのか…

脳までとろけ出して来た私の頭では答えなんて導き出せないけれど、正直きっと答え何て何だって構わない。ただこうして講釈的に頭を働かせていないとあっという間にこの快楽に飲み込まれてしまう。無駄と分かっていながらのせめてもの抵抗。

だって、私はもうどうしようもない程に彼を求めている。








舐め吸ってよく噛んで味わいたいくらい愛して




(さァ、そろそろ考え事は終いにして本番といこうか)




 

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