SS・過去拍手

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(ゾロ)



「ちょ、ちょっとまってください…!」



何やら騒がしいと瞼を開けたゾロの目の前には、カモメにぶら下がる女。



「まってく……あぁっ!、せめて海の上ならよかったのにー!!」



その叫びは空しく、この広大な海にポツリと浮かぶ小さな船目掛けて真っ逆様に落ちて来る女。





「よ…っと。オイ、」

「………神様の髪は緑色でいらしたんですね」



…このまなざしは本気だ。



「お前は死んじゃいねぇよ」

「へ……本当…ですか?」

「あぁ」



と、抱きとめる女に苦笑するゾロ。


 
「あ!うけとめて下さったんですね…!ありがとうこざいます!」

「いや、それにしたってお前、何であんな所から…」

「いえ…その、ちょっと相棒がまだ駆け出しでして…」

「相棒…?」



『クー…』という声がしたかと思えば、大きなカモメが船の上を飛んでいた。



「私新聞屋でして、彼がまだ駆け出しなので補助としてついて回っているんです」

「あぁ、新聞か…そういやナミが、来たら買っとけって言ってたな」

「本当ですか…!ありがとうございます」



クルクルと表情の変わる彼女の様子に、思わず笑みがもれる。


 
「しかし、よく無事だな」

「はい?」



船の先に立つカモメの背負う鞄を開け、新聞を取り出す彼女の様を見ていたゾロから思わずもれた言葉。



「いやに軽いし、筋肉もねぇからから別に鍛えたりしちゃいねぇんだろ?」

「は、はい…重いと彼に落とされるので…」



カモメの背中を撫ぜながら肩をすくめる新聞屋。



「それに、そんだけ整った顔してんなら、海賊相手じゃ大変だろ」

「え…!」

「身体だって、筋肉はねぇが抱き心地の良い、イイ身体してるぜ」

「んな…!!」

「声も綺麗だし…あんた、かなりイイ女だな」



真っ赤に染まった彼女の顎を捕らえ上向けると、ゾロは何とも挑発的に笑う。



「っー…!!お、お代は結構ですので…!し、失礼致します!」



グイッと渾身の力でゾロを押し退けると、彼女はカモメに跨がって一目散に飛び立つ。



「明日も来いよ、待ってるから」



その背中に向かってそんな言葉を投げ掛ければ、耳まで真っ赤になるのが見て取れた。




 
落とし者



(変態)
(うるせぇクソコック!テメェにいわれたかねぇ)
(あんなかわゆい乙女がマリモの餌食なるなんて、そんなのやすやす見過ごせるか!はぁ、新聞屋さんは何が好きなのかなぁー(ハート))
(グル眉エロコックが…)
(変態マリモヘッドが…)
(どっちもどっちだバカ!さっさと新聞寄越しなさい)




―――――


サンジくん顔負けのすごくタラシくさいゾロさん


 
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