SPECIAL
□消した恋心の行方
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真っすぐ向けられる香坂の視線に思わず顔を背ける。
それが香坂の勘に触ったらしく…
『葵』
「っ…」
ぐいっと顔を掴まれ視線を合わされた。
『何で前みたいに呼ばなくなったんだよ?』
「…なんとなくだよ…」
香坂がそんな答えで納得するわけないと分かりながら、あたしはそう言うしかなかった。
「…もう放してよ!こんなとこ誰かに見られたらどうすんの!?」
『別にいいだろ』
「良くない!」
バッとあたしの顔を掴んでいた手を払い退ける。
「あたしに構ってないで早く可愛い彼女の所行きなさいよ!」
シンとした住宅地にあたしの声が響き渡った。
ああ…明日噂になってなきゃいいけど…
『なあ…』
「なによ…?」
声を上げた事で何か吹っ切れてしまったあたし。
その結果、仁王立ちで香坂を睨み始めた。
『睨むなって(苦笑)』
「だからなに?」
『……はあ…葵さあ、さっきから何言ってるわけ?』
「なにが?」
『俺に彼女がどうとか…俺彼女いねんだけど?』
「…は?」
*