SPECIAL
□消した恋心の行方
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『お前今日バイト休みだろ?』
「そうよ〜」
『学校から直帰?』
「何?悪い?」
『遊びに行ったりしねーの?彼氏は?』
ピタっと一瞬足が止まる。
下がった視線を無理矢理上に上げ、思いっきり笑って
「なに?厭味〜?自分に可愛い彼女がいるからってさ」
香坂の肩を叩いた。
「あたし今バイトで忙しいから彼氏なんて作ってらんないの」
軽口を叩いて香坂の1歩前を歩く。
大丈夫。
あたしはちゃんと笑えてる。
「香坂も今日休みでしょ?もしかして彼女とデート〜?」
強がるのってどうしてこんなに簡単なのかな…
心は悲鳴をあげてるのに…
『なあ?』
「んー?」
『何でお前俺の事名前で呼ばなくなった?』
本日二度目、足が止まるのは…
心臓が嫌な音を出しはじめる。
「…よ…んでんじゃん。ちゃんと」
振り絞って出す声は蚊の鳴くような声で、動揺してるのが見え見えだったと思う。
『お前この前まで俺の事なんて呼んでた?』
あたしとは対照的にはっきりとした口調の香坂。
『俺の事ずっと"ハル"って呼んでただろ!何で今更苗字呼びになんだよ』
*